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[S10-05]Diversity in Rupture Patterns of Nankai Trough Earthquakes Since the 18th Century : Based on Tsunami Trace and Crustal Deformation Data

*Kentaro IMAI1, Takane Hori1 (1. JAMSTEC)
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南海トラフ巨大地震の発生形態の多様性を明らかにするために,近世以降に発生した5回の南海トラフ巨大地震,1707年宝永地震,1854年安政東海・南海地震と1944年昭和東南海地震および1946年昭和南海地震の津波痕跡および地殻変動分布の再整理を行い,それらに基づいた波源断層モデルの再評価を行ってきた.本研究では,これら5回のイベントにおける波源断層モデルの特徴,各イベントの相補関係や類似の振る舞いの有無について検討を行う.
 破壊域の多様性を明らかにするために,波源断層モデル推定には,史料情報に基づいて評価した津波と地殻変動の痕跡値と3次元プレート境界形状モデルに基づく小断層群を統一的に利用した.一連の南海トラフ巨大地震による津波痕跡値は,津波痕跡データベース(東北大学・原子力規制庁)に格納されている既往研究による痕跡値だけでなく,史料の再整理を実施して見出すことができた津波痕跡値も利用した.地殻変動量においては地震史料集における記述から推定した.波源断層モデルは南海トラフ沈み込み帯の3次元プレート境界形状モデル(Nakanishi et al., 2018)を参照してモデル化し,地殻変動や津波高の痕跡点数を考慮して東海震源域は6枚,東南海震源域は10枚,南海震源域は14枚の小断層で構成されるものと仮定した.各小断層のすべりによる地殻変動量はOkada (1985)の方法,津波のグリーン関数は線形長波理論(空間格子間隔150 m,時間間隔0.2 s)に基づき計算した.地殻変動や津波の痕跡点は各イベントで異なるが,安定的な波源推定を実施するための条件(地殻変動や津波高の痕跡分布と小断層サイズの関係)を満たしている(今井・他, 2013).痕跡を説明する各小断層のすべり量は,再現性指標VRS(Imai et al., 2020)が最適値に近づくようにSA(Kirkpatrick et al., 1983)を用いて推定した.地殻変動や津波痕跡高には観測誤差や本地震以外の地殻変動成分によるばらつきが含まれると考えられる.本解析では,これらのばらつきを10%程度と仮定して一様乱数により与え,1,000回試行のアンサンブル平均処理を行い,各小断層のすべり量を評価した.
 本研究で評価された各地震の規模は,宝永地震がMw 8.8,安政東海地震がMw 8.5,安政南海地震がMw 8.6,昭和東南海地震がMw 8.1,昭和南海地震がMw 8.2と推定された.断層すべりの空間分布については,東海震源域において宝永および安政地震では遠州灘東方沖で共通して大きなすべりが評価された.一方,駿河湾内および遠州灘西方沖では両者で顕著に異なり,宝永よりも安政地震の小断層において大きなすべりが評価された.南海震源域では,室戸岬近傍の小断層で共通して有意なすべりが評価された.宝永地震では沖合に大きなすべりが,安政地震では陸側に大きなすべりが見られた.昭和期の2地震は,宝永・安政地震と比べて規模が小さい.
 瀬野(2012)は,安政東海地震と昭和東南海地震,安政南海地震と昭和南海地震の破壊様態が相補的関係にある可能性を指摘している.本研究の結果からも,大すべり域の一部に相補的な振る舞いが見られる一方で,一部には類似の振る舞いも確認された.対象は近世以降のイベントに限られるものの,南海トラフ巨大地震の破壊形態における多様性を定量的に明示することができた.