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[S15-03]Improvement of Green's Function of the Stochastic Green Function Method, Part 3: Upper Limit of Q-value in Crustal Layers

*Yoshiaki HISADA1, Shinya Tanaka2, Junpei Kaneda2, Kazuhito Hikima3 (1. Kogakuin University, 2. Tokyo Electric Power Services Co., LTD., 3. Tokyo Electric Power Company Holdings, Inc.)
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1.はじめに
 (その1、2)に続き、統計的グリーン関数法(以下、SGF)に半無限成層地盤の理論グリーン関数を用いた手法(Hisada, 2008)を用いた観測強震波形の再現を試みる。2019年山形県沖地震の余震(Mj4.3)を対象として、深部地盤構造(マントル・地殻・堆積層)を考慮して短周期強震動を再現し、層構造による反射・透過波やQ値の影響を調べた。

2.2019年山形県沖地震の余震(Mj4.3)を対象とした短周期強震動の再現
1)強震観測点と震源パラメータ、地盤モデル、および強震動計算法
 図1は対象地震の震央とKiK-net観測点の分布である。地盤モデルは各観測点の深部地盤データ(地震本部、2012)とborehole設置点の浅部地盤データを接続した構造とした。Q値は地震基盤以深には日本海東縁部で得られた振動数依存の値(佐藤、2006)を、それ以浅は平均的な一定Q値(地震本部、2012)を使用した。一方、震源モデルはω2モデル(Boore、1983)として表1のパラメータを使用した。コーナー振動数(fc)は震央に近い6点のborehole観測記録(図1)の加速度フーリエ振幅スペクトルの平均値に2-10Hzの範囲で計算結果が最も一致するように設定した。その際、fmaxは10Hzとし、震源からP・SH・SV波を等方の放射係数(SH/SV波に等分割)として発生させた。位相スペクトルは各波の上下・水平成分にランダム波とし、各波の水平2成分を等配分した。加速度波形の経時関数はMjと震源距離に依存する経験式(佐藤ほか、1994)を使用した。
2)層構造の影響とQ値の上限値の有無による強震動特性の検討
 SGFのグリーン関数では地震基盤以深を一様地盤として直達実体波を計算し、堆積層の増幅率を乗じて計算した。この仮定は震源近傍では妥当であるが、遠方では深部層構造での屈折・反射波などの影響が大きくなるため、半無限成層地盤のグリーン関数が有効になる。一方、Q値は一般に高振動数ではfとともに増大する値が使用されるが、上限値が存在すると考えられる。そこでQ値に上限を設けない場合と、設けた場合との比較も行った(今回の計算では5HzのQ値を上限と仮定)。 
 計算例として、YMTH13(震央距離32.6km)とMYGH14(同137.5km)の加速度波形の再現を試みた。対象振動数は0-12.5Hzとし、0.3-0.4Hz以下と10-12.5Hz以上をカットするバンドパスフィルターをかけた。観測波形はborehole点とし、計算波形はSGFとして観測点直下までの直達実体波に、震源層(Vs=3.4km/s)から地震基盤(Vs=3.2km/s)への透過係数、および、堆積層・表層の増幅率を乗じた手法(以下、一様地盤)、および、深部構造・堆積層・表層による半無限成層地盤の理論グリーン関数を用いる手法(以下、半無限成層地盤)を使用した(MYGH14は地盤情報が未公開であり地震基盤内と仮定)。さらにQ値上限の有無による計算波形の比較を行った。図2は加速度フーリエ振幅、図3は加速度波形の3成分(NS, EW, UD)である。各観測点の結果の上段が一様地盤、下段が半無限成層地盤である(黒線が観測記録、赤線がQ値上限なし、青線がQ値上限あり)。全体的に計算波は観測波を良く再現しているが、YMTH13では両手法ともに高振動成分がやや過大であり、Q値上限を考慮してもあまり改善されていない。特に一様地盤ではSV波が上下動に現れるため、上下成分の振幅が過大であるが、半無限成層地盤では大きく改善されている。一方、遠方のMYGH14では、Q値上限の効果は半無限成層地盤で顕著に表れており、観測波形の再現性が大きく向上している。一様地盤では遠方でP波が水平成分に現れるため、上下動の振幅が小さいなど観測記録の再現性に問題がある。

3.おわりに
 SGFに半無限成層地盤のグリーン関数を使用し、深部地盤の成層構造やQ値に上限値を設定することで、遠方を含む短周期強震動記録の再現が大きく向上することを確認した。発表では他の観測点を含めた詳細な内容を紹介する予定である。本研究は工学院大学・総合研究所による研究助成を頂いています。

参考文献
Boore, D.M.: BSSA, V.73, pp.1865–1894, 1983.
地震本部:全国1次地下構造モデル(暫定版)、2012.
久田嘉章:(その1)日本地震学会秋季大会、2024、2025年地球惑星連合大会、2025.
Hisada, Y.: J. Seismology, V.12, pp.265–279, 2008.
佐藤智美:第34回地盤震動シンポジウム、pp23–34,2006.
佐藤智美ほか:日本建築学会構造系論文集、59巻、461号、p. 19-28、1994.