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[S15-04]Site-Proxy Ground Motion Model Based on Temporal Similarity of Seismic Waveforms

*Yangyang Li1, Junki Yamaguchi1, Yusuke Tomozawa1, Toshihide Saka1 (1. Kajima Technical Research Institute)
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1. はじめに
 我々は時刻歴波形を直接予測する地震動予測モデルGround motion model (GMM) の構築に取り組んでいる (Yamaguchi et al., 2024)。この手法はサイトを特定したsite-specific地震動を予測ができる一方で、観測記録のない任意地点での予測は対象としていなかった。任意地点での地震動予測を行うためには、GMMにおいて地盤のパラメータ(例えば、深さ30 mまでの平均S波速度Vs30、S波速度が1400 m/sとなる層の上面深度D1400)でサイト特性を代理するsite-proxyモデルも必要と考えられる。
 そこで本検討では,site-specific GMMをsite-proxy GMMへ拡張することを考える。地盤パラメータを次元削減して得られる観測点間の類似性を表す空間と、時刻歴波形が持つ高次元の情報量を次元削減して得られる観測点間の類似性を表す空間を評価することで,任意地点の地盤パラメータを介して時刻歴波形の経時特性を予測する手法を考案した。

2. 類似度指標とデータセットの代表条件
 本研究では、山口ら(2025)において経時特性のモデル構築に用いた条件付き敵対的生成ネットワーク(cGAN)及びその学習に使用したデータセットを用いる。cGANでは教師データとなる観測波形の他にGeneratorによって波形を生成し、Discriminatorにおいて波形が本物か偽物かを判別する(図1)。Discriminatorでは、Wasserstein距離に基づく計算により波形に対してスコアを算出し、本物の波形群と生成波形群のスコアが近くなるように学習する。本研究ではこのスコアを波形の類似度の指標として利用する。
 Generatorでは入力パラメータ(Mw、震源距離、震源深さ)を与えて波形を生成する。生成される波形及びDiscriminatorから算出されるスコアは入力パラメータによって変化する。したがって、学習させた各観測点の代表的なスコアを算出するために、データセットにおける代表的な入力パラメータ(以下、代表条件とよぶ)を求める。地震タイプごとにデータセットの入力パラメータをk-means clusteringで分類し、各クラスターの重心位置を代表条件とする。ここでは、内陸地殻内地震(CR)、プレート間地震(PHL_PB)、プレート内地震(PHL_IS)の地震タイプごとのデータ数に応じてCR:PB:IS=4:2:3の割合となるようにクラスタリングを行う(図2)。

3. 任意地点の時刻歴波形の経時特性の評価
 計算のフローを図3に示す。評価したい任意地点では観測記録がないため,任意地点の地盤条件を介してK-NET,KiK-net観測点(以降,既知観測点と呼ぶ)の経時特性との類似度を推定する評価方法を提案する。
3.1 地盤条件および時刻歴波形に基づく主成分分析
 既知観測点を用いて2つの主成分分析を行う。1つ目は既知観測点の地盤条件(Vs30, 地盤の一次固有周波数f0, D1100, D1400, D1700, D2100, Dbase)を主成分分析により次元削減し,地盤条件の類似度を可視化する。2つ目は,時刻歴波形の経時特性の類似度の可視化である。代表条件に基づいて既知観測点の時刻歴波形をGeneratorで生成し、その波形からDiscriminatorを通して得られるスコアを算出する。代表条件でのスコアは、その観測点の経時特性に関する特徴ベクトルとして扱う。この特徴ベクトルは代表条件の数と同じ次元を持った高次元のベクトルであり、主成分分析によって次元削減し可視化する。この結果が観測点ごとの時刻歴波形の経時特性の類似度を表していると考えられる。
3.2 任意地点と既知観測点の類似度の評価
 まず、ある任意地点の地盤条件と主成分係数を用いて、地盤条件の類似性を示す主成分分析結果の空間に任意地点の結果をプロットし、その点から既知観測点の類似性(近接性)を重み①として設定する。次に、各既知観測点の地盤条件の類似度を示す主成分分析結果を時刻歴波形の類似度を示す空間へ移行し、その点から各既知観測点の類似性(近接性)を重み②とする。2つの重みを掛け合わせて全既知観測点にわたって積分することで既知観測点の経時特性との類似度を確率値として出力する。我々のGMMはある入力条件での時刻歴波形を、ばらつきをもって出力するが、その際にこの確率値を参照する。なお、重みの強さはガウス型のカーネル関数を仮定し、重み①と②のバンド幅は試行錯誤で決めている。 
 ある地盤条件(Vs30 = 195 m/s、 f0 = 2.1 Hz、 D1100=81.7 m、 D1400 = 81.7 m、 D1700 = 81.7 m、 D2100 = 81.7 m、 Dbase = 410.9 m)を例に任意地点の時刻歴波形の経時特性を評価した結果を図4に示す。この任意地点での時刻歴波形の経時特性はFKO003、FKO013、KGS004等の観測点の経時特性と類似度が高いことが分かる。 

4. まとめ
 本稿では、任意地点における時刻歴波形の継時特性をcGANのスコアに基づく指標によって予測する方法を提案し、具体的な観測点におけるケーススタディを行った。任意地点の時刻歴波形の生成では、継時特性をこの方法で予測し、振幅特性をGITに基づく経験的情報と地盤条件に基づく地盤増幅特性を用いて予測することを考えている。

謝辞
 防災科学技術研究所K-NET、KiK-netの観測記録とF-netのメカニズム解を活用させていただきました。記して感謝します。