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[S15-09]Bias of spatial distribution of strong ground motions from earthquakes occurring in Kyushu arc and its relation to focal depth
*Yasumaro KAKEHI1 (1. Kobe University)
島弧の地下構造と地震によるゆれの関係を見るために,九州弧で発生した深さの異なる地震による強震動の空間分布を詳しく検討した。筧(2024,地震学会)では,九州弧で発生した深さの異なる8個の地震(7個のスラブ内地震,1個のプレート境界地震)を対象とし,加速度振幅の最大値(Peak Ground Acceleration,以下PGA)の空間分布を詳しく調べ,高周波数の地震波の振幅の空間的偏りが明瞭に認められるのは,震源が特に深い2006年大分県西部のスラブ内地震(深さ145.17km)と2014年伊予灘のスラブ内地震(78.04km)の2地震のみで,震源が相対的に浅い他の地震では空間的偏りが明瞭には見られないことを報告した。今回は,PGAだけでなく地震波形の特徴についても調べた。図1に直線的に並ぶ深さの異なる3地震(2006年大分県西部スラブ内:145.17km,2015年大分県南部スラブ内:58.04km,2001年日向灘スラブ内:39.30km)のPGAの空間分布,図2にこの3地震の速度波形を6測線に沿って並べた波形プロファイルを示す。震源の最も深い2006年大分県西部のスラブ内地震の場合,PGAの空間分布の偏り(大振幅域がスラブの浅部延長側に大きく広がる)が明瞭に見えるのに対し,浅い2地震では偏りは特に見られない。スラブの浅部延長側(四国側)に伸びる測線(図2(a)のline02)と九州弧の前弧側から背弧側に伸びる測線(図2(a)のline04)の速度波形プロファイルを比較すると,最も深い2006年大分県西部のスラブ内地震では背弧側での高周波地震波が減衰して低周波成分が卓越する様子が明瞭に見て取れる。この背弧側での高周波成分の減衰は,明瞭さは格段に劣るものの,浅い他の2地震でもある程度確認できることがわかる。PGAの空間分布と地震波形プロファイルによる検討の両方を踏まえると,(1) スラブの背弧側の高周波地震波の減衰は,浅い2地震については波形上で確認はできるものの,PGAの空間分布に明瞭な偏りをもたらすほどには効いていないと考えられる。また,浅い2地震についてはスラブの浅部延長側での大振幅域が見られないことから,(2) 浅い2地震については,high Qのスラブを高周波地震波が減衰せずに伝播する効果が明瞭には効いていないと考えられる。また,(3) 震源が浅い2地震については,震源が最も深い地震に比べて地表面で見る幾何減衰項の空間変化が急激であるために,震央近傍の大振幅域が強調されてしまい,島弧の構造を反映した広範囲の特徴的な地震動分布が見えにくくなる(マスクされてしまう)という効果が働いていると考えられる。浅い2地震についてPGAの空間分布の偏りが明瞭には見えないのは,これら(1),(2),(3)の効果の重ね合わせによると解釈することができる。講演では更に詳しい検討結果について報告する。

