Presentation Information
[S15-12]Evaluation of the Spatial Distribution of Aftershock Hypocenters Associated with Great Subduction Zone Earthquakes for PSHA
*Noriki Sugahara1, Atsushi Nozu1, Nobuoto NOJIMA2, Yusuke Fukunaga1, Yosuke NAGASAKA1 (1. Port and Airport Research Institute, 2. Gifu University)
1.研究の背景と実施内容
フーリエスペクトル(FS)を用いた確率論的地震ハザード解析(PSHA)は Sokolov, V. (BSSA, 90 (4), 2000.) により提案され,その後,長尾毅ら (土木学会論文集, No.801, 2005.), 山田雅行 (鳥取大学学位論文, 2011) , 竹信正寛ら (国総研資料, No.812, 2014)により,その解析を用いた設計入力地震動の生成法が構築された.FSを用いたPSHA(本稿では,長尾ら (2005), 山田 (2011), 竹信ら (2014)に基づく手法を指して,Fourier Spectrum Based Probabilistic Seismic Hazard Analysisの略称として,以降,FSB_ PSHAと表記する)は,地震動の強度指標と距離減衰式を用いたPSHAに比べて,震源特性・伝播経路・サイト特性をより合理的に考慮した解析が行えるのが利点である.また,地震動の継続時間やエネルギーを考慮した解析を行う上でも有利である.しかしながら,FSB_PSHAは,世界でもまだ事例が少なく課題が残されている.著者らはこれまでFSB_PSHAに関する研究を進めてきたが,まだ残る課題の一つに,巨大地震に付随する余震のハザードが考慮されていないことがある. FSB_PSHAで地震動を生成する場合,その加速度FS(一様ハザード加速度FS)の各周波数点の値は,個々の震源のハザードを積み上げて計算されるハザード曲線(年超過確率と加速度FSの値の関係)から設定される.その際に,個々の震源のハザードは,「その震源による地震の年発生確率×その震源から地震が発生した際の地震動のフーリエ加速度振幅の超過確率」として計算される.プレート境界型の巨大地震による余震は,内陸活断層による地震に比べて規模が小さいとは言えず,(本震自体の)再現期間も内陸活断層による地震より短い場合も多く,余震のハザードはある程度大きい可能性がある.本研究では, 南海トラフ地震等の将来的に発生が想定されるプレート境界型巨大地震を対象としたFSB_PSHAに適用することを目的として,2011年東北沖地震の余震震源の空間分布を,本震の前約10年間と後約10年間の分布の差をとることにより評価した.
2.余震震源の空間分布の評価方法とそれによる評価結果
2011年東北沖地震の震源断層面の座標としては,J-SHIS(https://www.j-shis.bosai.go.jp/)で公開されている,三次元(緯度,経度,深さ)の座標値を使用した(地震コード:PLE_ATHOPのモデルデータ(2012年)を使用).東北沖地震の震源域付近(J-SHISの震源断層面の座標データの緯度及び経度がそれぞれの最大値から最小値の範囲を対象)で発生した地震の震源位置とマグニチュードMJについては,気象庁の震源カタログから抽出した.座標値(緯度,経度,深さ)は,直交座標系であるUTM座標系(ゾーン54)に変換して以後の処理を行った.山田 (2011) に倣い,年発生確率1/75とした場合の解析結果への影響が大きいと考えられるMJ = 5.0以上の地震を対象とした.分布は,図に示すzeta軸方向,z軸方向の2について求めることとした.そのためにまず,一つ一つの余震震源に対して,各断層面を構成する全点(J-SHISのデータでは,約900個の代表点で断層面が表現されている)までの距離を計算した.次に,各震源に対して距離が近い順に2点(近い順に,点O,点Aとする)を選択した.平面を張るためには,近傍のもう1点加えた計3点が必要となる.なお,断層面に沿った平面を張るためには,直線上に並ぶ3点を選ぶと意図した平面とはならない.そのため,3点目(点Bとする)は,3番目以降に近い点から順に,OBベクトルを計算し,OAベクトルとOBベクトルの成す角が,初めて一定の範囲(本稿では10~170°とした)に収まった点を3点目として採用した.その上で,各余震震源に対して最も近い点(O点)のz座標をzの分布を考えることとしたが,その際には深さ毎の断層面の傾斜角θの違いを補正するため,1個の震源を1/sinθ個としてカウントして分布を求める操作を行った.また,上記のように求めた3点で張る平面からの(符号付きの)距離をzetaの分布として考えることとした.最終的には,約10年間と本震後の約10年間に対してそれぞれ求めて,それらの差をとることで(z方向は1km幅,zeta方向は3km幅に含まれる震源数の差を計算した),平時の地震を除いた,余震分だけにあたる震源分布(z, zetaの分布)を生成することを考えた.なお,差をとった際に負値となった場合(数は少ないが,zetaの分布において一部生じた)は0として扱った.最後に全体が1となるように規格化操作をして相対度数分布として表したものを図の(a), (b)として示す.また,z , zetaの分布とは独立に,MJの分布も評価した(MJ毎の数の情報は保持したいため,MJの分布は全体を1にする規格化は行っていない).なお,MJは元々,0.1刻みでデータが与えられていることから,その値毎に差をとり,同様に負値の補正を行った.この結果を図の(c)として示している. 上記のように求めた図に示す3つの分布を用いることで,南海トラフ地震等に対してFSB_ PSHAを行うための余震震源の空間分布を生成することが可能になると考える.
謝辞
本研究はJSPS科研費JP25K07912の助成を受けたものです.
フーリエスペクトル(FS)を用いた確率論的地震ハザード解析(PSHA)は Sokolov, V. (BSSA, 90 (4), 2000.) により提案され,その後,長尾毅ら (土木学会論文集, No.801, 2005.), 山田雅行 (鳥取大学学位論文, 2011) , 竹信正寛ら (国総研資料, No.812, 2014)により,その解析を用いた設計入力地震動の生成法が構築された.FSを用いたPSHA(本稿では,長尾ら (2005), 山田 (2011), 竹信ら (2014)に基づく手法を指して,Fourier Spectrum Based Probabilistic Seismic Hazard Analysisの略称として,以降,FSB_ PSHAと表記する)は,地震動の強度指標と距離減衰式を用いたPSHAに比べて,震源特性・伝播経路・サイト特性をより合理的に考慮した解析が行えるのが利点である.また,地震動の継続時間やエネルギーを考慮した解析を行う上でも有利である.しかしながら,FSB_PSHAは,世界でもまだ事例が少なく課題が残されている.著者らはこれまでFSB_PSHAに関する研究を進めてきたが,まだ残る課題の一つに,巨大地震に付随する余震のハザードが考慮されていないことがある. FSB_PSHAで地震動を生成する場合,その加速度FS(一様ハザード加速度FS)の各周波数点の値は,個々の震源のハザードを積み上げて計算されるハザード曲線(年超過確率と加速度FSの値の関係)から設定される.その際に,個々の震源のハザードは,「その震源による地震の年発生確率×その震源から地震が発生した際の地震動のフーリエ加速度振幅の超過確率」として計算される.プレート境界型の巨大地震による余震は,内陸活断層による地震に比べて規模が小さいとは言えず,(本震自体の)再現期間も内陸活断層による地震より短い場合も多く,余震のハザードはある程度大きい可能性がある.本研究では, 南海トラフ地震等の将来的に発生が想定されるプレート境界型巨大地震を対象としたFSB_PSHAに適用することを目的として,2011年東北沖地震の余震震源の空間分布を,本震の前約10年間と後約10年間の分布の差をとることにより評価した.
2.余震震源の空間分布の評価方法とそれによる評価結果
2011年東北沖地震の震源断層面の座標としては,J-SHIS(https://www.j-shis.bosai.go.jp/)で公開されている,三次元(緯度,経度,深さ)の座標値を使用した(地震コード:PLE_ATHOPのモデルデータ(2012年)を使用).東北沖地震の震源域付近(J-SHISの震源断層面の座標データの緯度及び経度がそれぞれの最大値から最小値の範囲を対象)で発生した地震の震源位置とマグニチュードMJについては,気象庁の震源カタログから抽出した.座標値(緯度,経度,深さ)は,直交座標系であるUTM座標系(ゾーン54)に変換して以後の処理を行った.山田 (2011) に倣い,年発生確率1/75とした場合の解析結果への影響が大きいと考えられるMJ = 5.0以上の地震を対象とした.分布は,図に示すzeta軸方向,z軸方向の2について求めることとした.そのためにまず,一つ一つの余震震源に対して,各断層面を構成する全点(J-SHISのデータでは,約900個の代表点で断層面が表現されている)までの距離を計算した.次に,各震源に対して距離が近い順に2点(近い順に,点O,点Aとする)を選択した.平面を張るためには,近傍のもう1点加えた計3点が必要となる.なお,断層面に沿った平面を張るためには,直線上に並ぶ3点を選ぶと意図した平面とはならない.そのため,3点目(点Bとする)は,3番目以降に近い点から順に,OBベクトルを計算し,OAベクトルとOBベクトルの成す角が,初めて一定の範囲(本稿では10~170°とした)に収まった点を3点目として採用した.その上で,各余震震源に対して最も近い点(O点)のz座標をzの分布を考えることとしたが,その際には深さ毎の断層面の傾斜角θの違いを補正するため,1個の震源を1/sinθ個としてカウントして分布を求める操作を行った.また,上記のように求めた3点で張る平面からの(符号付きの)距離をzetaの分布として考えることとした.最終的には,約10年間と本震後の約10年間に対してそれぞれ求めて,それらの差をとることで(z方向は1km幅,zeta方向は3km幅に含まれる震源数の差を計算した),平時の地震を除いた,余震分だけにあたる震源分布(z, zetaの分布)を生成することを考えた.なお,差をとった際に負値となった場合(数は少ないが,zetaの分布において一部生じた)は0として扱った.最後に全体が1となるように規格化操作をして相対度数分布として表したものを図の(a), (b)として示す.また,z , zetaの分布とは独立に,MJの分布も評価した(MJ毎の数の情報は保持したいため,MJの分布は全体を1にする規格化は行っていない).なお,MJは元々,0.1刻みでデータが与えられていることから,その値毎に差をとり,同様に負値の補正を行った.この結果を図の(c)として示している. 上記のように求めた図に示す3つの分布を用いることで,南海トラフ地震等に対してFSB_ PSHAを行うための余震震源の空間分布を生成することが可能になると考える.
謝辞
本研究はJSPS科研費JP25K07912の助成を受けたものです.

