Presentation Information
[S15-17]JMA magnitude vs. seismic moment relationship for inland earthquakes and scaling laws for fault length and displacement
*Hiroshi KAWASE1, Kenichi Nakano2, Kojiro Irikura3 (1. General Building Research Center of Japan, 2. HAZAMA ANDO CORPORATION, 3. Aichi Institute of Technology)
地質学的・地形学的調査等によって得られる断層情報を基にして震源パラメタをできるだけ精度よく設定することは,定量的な強震動予測のために極めて重要である.そこで必要となるのがスケーリング則であり、それを体系化した「強震動予測レシピ」の高精度化に多くの精力が費やされてきた。我が国では内陸地震に関してのみ、気象庁マグニチュードMJMAと地震モーメントM0の対数log(M0)の関係に通常のモーメント・マグニチュードMWとは係数の異なる以下の関係式が用いられてきた(武村, 1990)。
log (M0) = 1.17 MJMA + 10.72 or MJMA=1.282 MW – 1.385 (1)
我々は1989年1月~2024年1月の35年間に日本周辺で発生したMJMA≧4.5の内陸地震を対象として、MJMAとF-netのCMT解(1995年以前はG-CMT解)のlog(M0)あるいはそれから求められるMwとの関係を改めて整理した。その結果、MJMAの小さい地震を含めるとMw―log(M0)関係の係数(傾き)1.5より少し小さな1.404という係数が得られたが、MJMA≧5.5に限定すると係数は1.546となり、これを1.5で固定して回帰すると次式
log (M0) = 1.5 MJMA + 8.566 or MJMA=MW + 0.356 (2)
が得られた。この結果は武村(1990)の(1)式とはMの大きい領域と小さい領域で大きな差がある(なおMW=6.17で両者は一致)。 この従来の内陸地震のMJMA―log(M0)関係については、武村(1990)において、松田(1975)の提案した断層長Lおよび断層変位Dのスケ-リング則、すなわちM―log(L)関係とM―log(D)関係
log (L) = 0.6M – 2.9 and log (D) = 0.6M – 4.0 (3)
から、このMをMJMAと等しいと考え、断層幅W = 15 kmと仮定してM0を求めることにより
log (M0) = 1.2 M + 10.8 (4)
と(1)式とほぼ同じ式が導かれることから、妥当であるとの主張がなされていた。もしそれが成立していないのであれば、(2)式を前提としてL・Dのスケ-リングを再考する必要がある。その際強震動予測レシピでは、詳細な調査がなされた場合には断層面積S=LWからM0を含む各種震源パラメタを求めることにしているので、M0に応じてWの頭打ちとDの頭打ちを考慮した3ステージ・モデルにおいて、第一ステージではL=W、第二・第三ステージではW=Wmax=18kmと仮定することにより、LおよびDに関するスケーリングを求めた。初めにlog(M0)との関係式を求め、それに(2)式を代入してMJMAの関係式に換算した。得られたMJMA―log(L)関係は次式である。
log (L) = 0.50 MJMA – 2.137(M0<7.5×1018 N m)
log (L) = 0.75 MJMA – 3.845(7.5×1018 N m≦M0≦1.8×1020 N m) (5)
log (L) = 1.50 MJMA – 9.689(1.8×1020 N m<M0)
同様にMJMA―log(D)関係は次式となった。
log (D) = 0.50 MJMA – 3.678(M0<7.5×1018 N m)
log (D) = 0.75 MJMA – 5.363(7.5×1018 N m≦M0≦1.8×1020 N m) (6)
log (D) = 0.48 (1.8×1020 N m<M0)
添付図の左パネルには横軸MJMA、縦軸log(L)とした場合のこの3ステージ・モデル(赤線)を松田のlog(L)の式(緑線)と比較して示す。シンボルは最近の地震の震源インバージョンから求めた観測値である(SRCMODのデータ*は(2)式でMJMAに換算)。同図の右パネルには同じく縦軸をlog(D)とした場合の比較結果を示す。図から、提案したLおよびDのスケ-リングは観測値とよく整合していること、これに対して松田のLおよびDの予測式は第1・第2ステージの中間的な傾きを持っているが、同じMJMAでLは小さめ・Dは大きめ(同じLならMJMAは大きめ)になることがわかる。
松田(1975)が(3)式の導出時に用いた断層情報はその多くが余震観測と地殻変動,および地質学的調査や被害調査を元に推定された値であり、 LはDの大きな部分だけが抽出され易い。結果としてインバージョンから得られる震源断層情報に比べLは過小評価、Dは過大評価となったものと推察される。つまり(5)・(6)式のL・Dの意味は (3)式と同じではない。
log (M0) = 1.17 MJMA + 10.72 or MJMA=1.282 MW – 1.385 (1)
我々は1989年1月~2024年1月の35年間に日本周辺で発生したMJMA≧4.5の内陸地震を対象として、MJMAとF-netのCMT解(1995年以前はG-CMT解)のlog(M0)あるいはそれから求められるMwとの関係を改めて整理した。その結果、MJMAの小さい地震を含めるとMw―log(M0)関係の係数(傾き)1.5より少し小さな1.404という係数が得られたが、MJMA≧5.5に限定すると係数は1.546となり、これを1.5で固定して回帰すると次式
log (M0) = 1.5 MJMA + 8.566 or MJMA=MW + 0.356 (2)
が得られた。この結果は武村(1990)の(1)式とはMの大きい領域と小さい領域で大きな差がある(なおMW=6.17で両者は一致)。 この従来の内陸地震のMJMA―log(M0)関係については、武村(1990)において、松田(1975)の提案した断層長Lおよび断層変位Dのスケ-リング則、すなわちM―log(L)関係とM―log(D)関係
log (L) = 0.6M – 2.9 and log (D) = 0.6M – 4.0 (3)
から、このMをMJMAと等しいと考え、断層幅W = 15 kmと仮定してM0を求めることにより
log (M0) = 1.2 M + 10.8 (4)
と(1)式とほぼ同じ式が導かれることから、妥当であるとの主張がなされていた。もしそれが成立していないのであれば、(2)式を前提としてL・Dのスケ-リングを再考する必要がある。その際強震動予測レシピでは、詳細な調査がなされた場合には断層面積S=LWからM0を含む各種震源パラメタを求めることにしているので、M0に応じてWの頭打ちとDの頭打ちを考慮した3ステージ・モデルにおいて、第一ステージではL=W、第二・第三ステージではW=Wmax=18kmと仮定することにより、LおよびDに関するスケーリングを求めた。初めにlog(M0)との関係式を求め、それに(2)式を代入してMJMAの関係式に換算した。得られたMJMA―log(L)関係は次式である。
log (L) = 0.50 MJMA – 2.137(M0<7.5×1018 N m)
log (L) = 0.75 MJMA – 3.845(7.5×1018 N m≦M0≦1.8×1020 N m) (5)
log (L) = 1.50 MJMA – 9.689(1.8×1020 N m<M0)
同様にMJMA―log(D)関係は次式となった。
log (D) = 0.50 MJMA – 3.678(M0<7.5×1018 N m)
log (D) = 0.75 MJMA – 5.363(7.5×1018 N m≦M0≦1.8×1020 N m) (6)
log (D) = 0.48 (1.8×1020 N m<M0)
添付図の左パネルには横軸MJMA、縦軸log(L)とした場合のこの3ステージ・モデル(赤線)を松田のlog(L)の式(緑線)と比較して示す。シンボルは最近の地震の震源インバージョンから求めた観測値である(SRCMODのデータ*は(2)式でMJMAに換算)。同図の右パネルには同じく縦軸をlog(D)とした場合の比較結果を示す。図から、提案したLおよびDのスケ-リングは観測値とよく整合していること、これに対して松田のLおよびDの予測式は第1・第2ステージの中間的な傾きを持っているが、同じMJMAでLは小さめ・Dは大きめ(同じLならMJMAは大きめ)になることがわかる。
松田(1975)が(3)式の導出時に用いた断層情報はその多くが余震観測と地殻変動,および地質学的調査や被害調査を元に推定された値であり、 LはDの大きな部分だけが抽出され易い。結果としてインバージョンから得られる震源断層情報に比べLは過小評価、Dは過大評価となったものと推察される。つまり(5)・(6)式のL・Dの意味は (3)式と同じではない。

