Presentation Information
[S15-19]Probabilistic Seismic Hazard Analysis based on a Ground Motion Generative Model
*Yuma Matsumoto1, Taro Yaoyama2, Sangwon Lee2, Asako Iwaki1, Tatsuya Itoi2 (1. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, 2. The University of Tokyo)
深層生成モデルを用いてモデル化した地震動時刻歴データの確率分布に基づく,確率論的地震ハザード評価の新たな枠組みを提案する.一般的な確率論的地震ハザード評価では,地震動モデルの予測に基づき,地震動強さ指標の超過確率を評価する.そのようなハザード評価結果は地震工学の分野で広く活用されている.しかし,性能規定型耐震工学などの地震リスク評価の枠組みでは,構造物の動的応答解析に基づく耐震性能評価が一般的となりつつあり,入力の地震ハザードとして地震動時刻歴データが必要とされている.そのような背景から,著者らはこれまで深層生成モデルの一種である敵対的生成ネットワーク (generative adversarial networks, GANs)を用いて,地震動時刻歴データの確率分布を直接モデル化可能な地震動モデル (地震動生成モデル)の構築を行ってきた[1].地震動生成モデルは,震源・伝播経路・サイト特性に関する指標と強震観測記録のペアからなるデータベースを学習することにより,観測記録の確率分布を近似し,その分布に従って新たな地震動時刻歴データを生成することが可能である.本発表では,地震動生成モデルを確率論的地震ハザード評価の枠組みに組み込むことで,特定のサイトにおける地震ハザードを地震動時刻歴データのサンプル集合で表現可能であることを示す.
日本で発生した地殻内地震を対象として強震観測記録のデータセットを作成し,styleGAN2と呼ばれるGANsモデルを用いて地震動生成モデルの学習を行った.学習対象の地震動には,P波の直前1秒前から継続時間81.92秒で揃えた加速度時刻歴データを使用した.簡単な問題設定として,震源特性としてモーメントマグニチュード,伝播経路特性として断層最短距離,サイト特性として地表から30mまでの平均S波速度 (Vs30)をそれぞれ使用した.確率論的地震ハザード評価では,検討対象サイト周辺の震源断層ごとにマグニチュードと距離の分布を考慮し,地震動の条件付き分布と組み合わせてそれらを周辺化する必要がある.提案する地震動生成モデルでは,確率密度を明示的に計算することができないため,周辺化の積分計算を棄却サンプリングにより実施する手法を考案した.構築した地震動生成モデルを使用し,提案手法によって地震ハザードを表す地震動時刻歴データのサンプル集合を得る数値実験を行った.得られたサンプル集合から計算した地震動強さ指標のハザードカーブと,既存の地震動モデルを用いて評価したハザードカーブとを比較し,両者が概ね一致することを示した.これらの解析結果を示すとともに,提案手法の工学的応用の展望について議論する.
引用文献
[1] Matsumoto et al. (2024). Generative adversarial networks‐based ground‐motion model for crustal earthquakes in Japan considering detailed site conditions. BSSA, 114(6), 2886–2911.
日本で発生した地殻内地震を対象として強震観測記録のデータセットを作成し,styleGAN2と呼ばれるGANsモデルを用いて地震動生成モデルの学習を行った.学習対象の地震動には,P波の直前1秒前から継続時間81.92秒で揃えた加速度時刻歴データを使用した.簡単な問題設定として,震源特性としてモーメントマグニチュード,伝播経路特性として断層最短距離,サイト特性として地表から30mまでの平均S波速度 (Vs30)をそれぞれ使用した.確率論的地震ハザード評価では,検討対象サイト周辺の震源断層ごとにマグニチュードと距離の分布を考慮し,地震動の条件付き分布と組み合わせてそれらを周辺化する必要がある.提案する地震動生成モデルでは,確率密度を明示的に計算することができないため,周辺化の積分計算を棄却サンプリングにより実施する手法を考案した.構築した地震動生成モデルを使用し,提案手法によって地震ハザードを表す地震動時刻歴データのサンプル集合を得る数値実験を行った.得られたサンプル集合から計算した地震動強さ指標のハザードカーブと,既存の地震動モデルを用いて評価したハザードカーブとを比較し,両者が概ね一致することを示した.これらの解析結果を示すとともに,提案手法の工学的応用の展望について議論する.
引用文献
[1] Matsumoto et al. (2024). Generative adversarial networks‐based ground‐motion model for crustal earthquakes in Japan considering detailed site conditions. BSSA, 114(6), 2886–2911.
