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[S18-01]How Should We Deal with Rumors of an Earthquake?

*Yoshiaki ORIHARA1 (1. Faculty of Education, Tokyo Gakugei University)
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2025年7月に大地震と大津波が日本を襲う、といったうわさがSNSを中心に広まった。また、このうわさは海外でも話題になり、香港と仙台や徳島を結ぶ航空便が減便されるといった事態にまで発展した(https://www.fnn.jp/articles/-/862263; https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20250424-OYO1T50041/)。
 このうわさの発端は、漫画家・たつき諒氏の『私が見た未来』にある予知夢とされている。その内容は、日本とフィリピンの中間あたりの海域で起こる異変による大災難であり、大災害とは言っていない。おそらく、この予知夢に便乗した人たちが、日本での大地震・大津波に書き換えたものと考えられる。ちなみに、これに先立つ4月26日には東京で大地震が発生する、といった沖縄の霊能力者による予言がSNSで拡散していた。
 こうした地震発生のうわさは、今日のようにSNSが普及していなかった時代からあり、不特定多数に広まった地震発生のうわさは、地震流言(じしんりゅうげん)と呼ばれている。
 発表者は、これまでに過去の地震流言について調査している。例えば、2008年6月に山形で大地震が起きるといった地震流言については、うわさが広まった中心世代と考えられる中高生を対象としたアンケート調査を県全域で実施し、9割以上の中高生がこのうわさを知っていたことなどを明らかにした(織原他, 2010)。

 発表者が確認した地震流言の例として、2003年から2008年までのものを以下に示す。
 [1] 2003年11月26日:大地震が起きる(発生場所は不定)この年、5月26日(三陸南地震)・7月26日(宮城県北部)・9月26日(十勝沖地震)と奇数月26日に強い地震が起こっていたため、次は「11月26日」という話が広まった。この話題はあるTV番組でも取り上げられていた。
 [2] 2004年新潟中越地震の後、福井でも地震が起きる。出どころは不明。
 [3] 2004年12月4日: 秋田で震度8の地震。出どころは著名な女性占い師。秋田県内の小、中学校の生徒たちを中心に急速に広がった。
 [4] 2005年11月3日:和歌山で大震災が起こる。出どころは和歌山のある女の子がある夜、夢枕に立った親族(故人)に言われたという話。和歌山県内に広まる。
 [5] 2005年4月27日午前2時頃:福岡で震度7の大地震。出どころは不明。福岡沖地震の最大余震があった20日以降、「近く大きな地震が起きる」という噂がチェーンメール中心に福岡県内に広まる。
 [6] 2007年9月13日:富山付近でマグニチュード8.1、最大震度7の地震。出どころは(実在しない)富山県内大学の地学研究センター。チェーンメール中心に富山県内で広まる。地元のTV番組で取り上げられた。
 [7] 2008年6月25日:山形で大地震。出どころは不明。山形県全域に広まる。
 [8] 2008年9月13日:名古屋でマグニチュード8.6の東海地震が発生。ブラジルの予言師ジュセリーノ氏が予言。愛知県岡崎市と東三河地方を中心に広まる。

 地震流言にはいくつかの共通項が見られる。例えば、発生日が特定(場合によっては時分も)されている、うわさの出どころとして何らかの権威が利用される、うわさが広まる背景に何らかの不安要素がある、などである。これらは、すべての地震流言にあてはまるものではないが、すべての地震流言に当てはまっていることがある。それは「予言された地震は発生しなかった」ということである。
 過去の地震流言では、うわさの地震に対して備えの行動を起こした人が少なからずいたことがわかっている。発表者は上記[8]の事例で、岡崎市の当時防災担当だった職員に聞き取り調査を行っている。この職員によると、それまで一生懸命広報しても広まらなかった各家庭での地震への備えが、このうわさで一気に広まったとのことだった。
 科学的根拠がないうわさレベルの話に踊らされるべきではない、といった意見がある一方、うわさレベルであっても地震への備えが広まること自体はいいこと、といった意見もある。いずれにしても、過去の事例を知ること(知らせること)がまずは大切ではないか、と発表者は考える。


謝辞:本研究は東京大学地震研究所共同利用(2024- KOBO03)の援助をうけました。