Presentation Information
[S21-04]Waveform Modeling from Martian Meteoroid Impact Event: Shallow Crust Heterogeneity via Surface Wave Ellipticity & P-Coda
*Hayato Hirai1, Takuto Maeda1, Shiro Hirano1 (1. Hirosaki University)
2019年から2022年末までNASA の火星探査機 InSight が多くの火震(火星で発生する地震)を記録した.火震波形には,長時間持続するコーダ波や表面波振幅の著しい減衰といった特徴がみられる.これらは,火星浅部に存在するレゴリス(破砕堆積物)やメガレゴリス(破砕岩盤)という不均質構造の影響を強く反映していると考えられる.地震波形を用いた火星内部構造の推定には,正確な震源位置情報が不可欠である,しかし,火星では観測点が探査機による1点のみであったため,多くの火震において震源の決定が困難であるという課題があった.そこでこれまで我々は,衝突クレーターが軌道衛星による観測で特定され,震源位置が明確な隕石衝突イベントS1034aを対象に波形再現を試みてきた(Hirai et al., 2025, JpGU).そこでは波長不均質構造がコーダ波形成に不可欠であることや,高周波の表面波を強く減衰させる構造が存在する可能性を示したが,観測波形全体の再現には至っていなかった.そこで本研究では,コーダ波の波形形状の特徴再現に重点を置き,S1034a における観測波形の特性,特に P 波コーダの緩やかな増幅,0.5–1.0 Hz 帯における表面波の振幅回数の少なさ,および楕円率 H/Vが0.4–0.5 であるという特徴的な波形形状に注目し,そのモデリングを通じて火星浅部構造のさらなる検討を実施した.
使用した数値モデルでは,既存の速度構造に対して浅部に以下の改良を加えた.まず,0.5–1.0 Hz 帯の表面波を再現するため,対応する深さ 200–1000 m に速度勾配構造を導入した.次に,レゴリスやメガレゴリスを模擬するため,特徴的スケール300–650 m,速度ゆらぎ 0.06 以上の強い短波長不均質を深さ 1 km 以浅に重畳した.また,散乱波の振幅を長時間持続させるために,特に浅部のQ値を地球の地表付近の平均値よりも1–2 桁大きく設定した.これらの条件下で,地震波伝播コードOpenSWPCを用いた3次元数値シミュレーションを実施した.その結果,観測波形に見られる長時間持続するコーダ波の形成に加え,0.5–1.0 Hz 帯における表面波の振幅回数の少なさや楕円率の再現に成功した.特に楕円率の再現は,フォワードモデリングによって導入した速度構造が,少なくとも観測波形と整合的である可能性を示唆している.
一方で,1 Hz 以上の表面波の急激な減衰や,P 波コーダの緩やかな増幅の再現には依然として課題が残った.これらの特性を再現するには,より強い散乱を生じさせる短波長不均質構造の導入や,より詳細な浅部構造モデルの構築が必要である可能性がある.本研究は,S1034a の波形解析を通じて,火星浅部における不均質構造と波動特性の関係を評価するフォワードモデルを構築したものである.得られた結果は,火星地殻の形成過程や浅部進化に関する理解の深化に寄与することが期待される.
使用した数値モデルでは,既存の速度構造に対して浅部に以下の改良を加えた.まず,0.5–1.0 Hz 帯の表面波を再現するため,対応する深さ 200–1000 m に速度勾配構造を導入した.次に,レゴリスやメガレゴリスを模擬するため,特徴的スケール300–650 m,速度ゆらぎ 0.06 以上の強い短波長不均質を深さ 1 km 以浅に重畳した.また,散乱波の振幅を長時間持続させるために,特に浅部のQ値を地球の地表付近の平均値よりも1–2 桁大きく設定した.これらの条件下で,地震波伝播コードOpenSWPCを用いた3次元数値シミュレーションを実施した.その結果,観測波形に見られる長時間持続するコーダ波の形成に加え,0.5–1.0 Hz 帯における表面波の振幅回数の少なさや楕円率の再現に成功した.特に楕円率の再現は,フォワードモデリングによって導入した速度構造が,少なくとも観測波形と整合的である可能性を示唆している.
一方で,1 Hz 以上の表面波の急激な減衰や,P 波コーダの緩やかな増幅の再現には依然として課題が残った.これらの特性を再現するには,より強い散乱を生じさせる短波長不均質構造の導入や,より詳細な浅部構造モデルの構築が必要である可能性がある.本研究は,S1034a の波形解析を通じて,火星浅部における不均質構造と波動特性の関係を評価するフォワードモデルを構築したものである.得られた結果は,火星地殻の形成過程や浅部進化に関する理解の深化に寄与することが期待される.
