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[S23-02]Northern Yamaguchi Earthquake Swarm: Complicated Hypocenter Migration and Driving Mechanisms

*Yuta AMEZAWA1, Suguru Yabe1, Yasunori Sawaki2, Kazutoshi Imanishi1, Masatoshi Miyazawa3, Tomoaki Nishikawa3, Takuya Nishimura3, Airi Nagaoka3, Rintaro Miyamachi3, Shiro Ohmi3 (1. Geological Survey of Japan, AIST, 2. College of Science and Engineering, Ritsumeikan University, 3. Disaster Prevention Research Institute, Kyoto University)
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はじめに
 群発地震とは、活動の初期に最大規模の地震が発生せず活動時系列が改良大森公式に従わないような地震活動である。その駆動要因としては高圧流体の浸入による間隙流体圧の時空間変化や非地震性すべりによる応力擾乱などの外的要因が考えられている。群発地震の時空間発展は群発地震ごとに多様であり、個々の事象を詳細に研究することは群発地震を理解する上で重要である。
 本研究で対象とするのは、山口県北部で2025年2月頃より発生している群発地震である。本群発地震は深さ 25–35 kmで発生しており、一般の群発地震の発生深度よりも10 kmほど深い。また、約2週間間隔でバースト的に地震活動が発生している点は潮汐応答が報告された能登半島北東部群発地震の深部クラスタの活動と類似しており興味深い。本研究では、山口県北部群発地震の駆動メカニズムの解明を目的に、震源を高精度に再決定し、その空間分布および時空間発展を精査した。

震源分布の空間的特徴
 2025年2月から6月に発生したM≥0.0の3,886地震(気象庁一元化震源)を初期震源として、Double-Difference法(Waldhauser & Ellsworth, 2000)で震源再決定を行った。入力データのdifferential-timeは,気象庁検測値および地震波形の相互相関解析に基づいて作成した。震源再決定の結果、震源は5 kmほどの空間スケールで南北2つのクラスタとして面状に分布していることが明らかになった。2つのクラスタの間には約1 kmほどの地震活動が低調な領域が存在しており、そこを境に面の傾きが異なっている。震源をクラスタリングし、それぞれについて面をフィッティングした結果、南側深部のクラスタは約47˚で南西に傾斜、北側浅部のクラスタは約18˚で西南西に傾斜する面状領域に震源が分布していることが明らかになった。また、クラスタ内において震源は一様に分布せず、震源が空間的に密集する部分と疎な部分があることが明らかになった。

震源マイグレーションの特徴
 まず、2つの面状の震源クラスタについて、面の走向方向・傾斜方向に対する震源マイグレーションを調べた。いずれの面でも、大局的には深部から浅部にかけて地震活動が推移しているが、走向方向には一定の方向に移動し続けず、ジグザグとした変動が見られ、傾斜方向には10日ほどかけて浅化したのちに5日ほどかけて深化するような変動が見られた。また、それぞれの面の法線応力の潮汐変化をTidalStrain.2(Hirose et al., 2019) で計算し、震源マイグレーションとの対応を調べた結果、法線応力の時間変化が大きくなる期間(小潮と小潮の間)に走向方向に複雑に移動しつつ傾斜方向には浅化するような震源マイグレーションが発生したことが明らかになった。
 次に、2つの震源クラスタそれぞれについて、ある時空間原点から各震源までの震源間距離と時間を求め、その最外縁部の変化を調べた結果、それが間隙流体圧の等方拡散モデル(Shapiro et al., 1997)で説明できることが明らかになった。面の走向方向・傾斜方向に対する検討で見られたように、震源間距離に対しても一定期間経過してから原点方向に戻る挙動が複数見られた。これらの「逆方向マイグレーション」はその開始時点の震源を原点とすれば順方向と同様に拡散的な様相を示す。拡散係数は順方向・逆方向ともに2.0–4.0 m2/s程度の値であり、これは火山地域の群発地震で観測された値に相当し(e.g., Shelly et al., 2016)、比較的大きめの値である。

議論
 山口県北部群発地震は大局的に深部から浅部にかけて推移している。また、拡散的な震源マイグレーションが複数観測され、それらの拡散係数が比較的大きい。以上から、本群発地震の駆動要因として高圧かつ低粘性な流体の存在が示唆される。この地域のモホ面深度は約40 kmと推定されており(Shiomi et al., 2006)、本群発地震はモホ面直上の地殻内で発生していると考えられる。加えて、本群発地震は阿武火山群の直下に位置している。阿武火山群の噴出物のK-Ar年代から、玄武岩質マグマが噴出した後に安山岩質マグマが噴出したことが明らかになっており、下部地殻が溶融した可能性が指摘されている(角縁・他, 2000)。最近の噴火が約8,800年前であることを考慮すると、群発地震域周辺にマグマだまりから分離した流体が存在し、何らかの理由でそれが上昇しつつ群発地震を駆動している可能性がある。また、震源分布の疎密および面的な領域内における複雑な震源マイグレーションは、浸透率が空間的に不均質な領域を潮汐による法線応力の擾乱が発生するタイミングで、地震を起こしつつ移動していると考えられる。