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[S23-10]The physical mechanism underlying volcanic earthquake swarm at Mt. Ontake

*Toshiko TERAKAWA1, Yuta Maeda1, Shinichiro Horikawa1 (1. Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University)
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御嶽山直下の火山性地震活動は,震源域が山頂から1–2 km以内の狭い領域の浅部に限られ,時間的にも集中して発生する.これらは微小地震活動で,M 0未満の地震が95%以上を占める.噴火時等にはM 1–2程度の比較的規模の大きい地震が発生するものの,最大地震とその他の地震との規模差は1を超えず,これらの活動は群発地震の性質を持つ.
 本研究では,2024年12月~2025年1月にかけて発生した御嶽山のアンレスト(噴火未遂)に関連した火山性地震の震源とメカニズム解を推定し,これらのデータに基づき,御嶽山の火山性群発地震活動を駆動する物理メカニズムを考察することを目的とする.御嶽山の火山性地震は微小であり,一般には,メカニズム解の推定だけでなく,震源位置の精度良い推定も容易ではない.しかし,2014年の噴火後には,御嶽山周辺域の地震観測網の整備・強化が大幅に進み,特に,名古屋大学では山頂域に10点の観測点から成る独自の地震網を新設した.これにより,微小地震の解析能力が著しく向上した.これらの良質な地震波形データから,2024年11月から2025年1月に発生した2672個の震源を決定した.また,P波初動の押し引きとS:P振幅比をデータとして,316個(微動前:196個,微動後:120個)の地震のメカニズム解を推定した.
 今回の地震活動は,12月9日頃より急激に増加し始め,12月中旬と1月中旬に一時的な小康状態を挟みつつも増加を続け,1月21日の傾斜変動を伴う微動の発生日にピークとなった.その後,約1日のうちに急速に減少した.震源データの分散・共分散行列の固有値と対応する固有ベクトルから震源分布の特徴を調べてみると,12月中旬ごろまでは顕著な特徴は見られなかったが,12月下旬ごろより,震源は横ずれ型の広域応力場(Terakawa et al., 2016)の最大主応力軸(S1R)に沿い,最小主応力軸(S3R)に法線ベクトルを持つほぼ鉛直な面上に分布する傾向が強くなったことがわかった.このことは,御嶽山の火山性地震活動は,広域応力場の下で最も開きやすい面に火山性流体が貫入する過程の中で発生したことを示す.
 メカニズム解については,まず,広域応力場から予想されるすべり方向と実際のすべり方向の差(ミスフィット角f)を評価し,f ≤ 65°であれば広域応力場と調和的,f > 65°であれば非調和的な地震であるとした.微動発生前については,広域応力場と調和的な地震は全体の37%に留まった.一方,微動発生後には状況が反転し,74%の地震は広域応力場と調和的であった.このようなf の時間変化は,2014年噴火前後でとらえられた傾向ともよく一致する.これは,1月21日の微動の発生が何らかの減圧プロセスを引き起こした可能性を示唆する.ダブルカップルを前提とした地震のメカニズム解のミスフィット角は,剪断歪エネルギーの解放に関する情報を持っている.f = 0°の地震(Wallace-Bott仮説に従う地震)は最も効率よくエネルギーを解放する地震である(Matsu’ura et al., 2019).一方,f > 90°の地震は,仮に広域応力場の下で発生したとすれば,本来なら解放されるはずの剪断歪エネルギーを増加させてしまうことになる.一般に,地震はエネルギーを解放するために発生することと,微動発生前や噴火前に広域応力場と非調和的な地震が多発した観測事実から,これらの地震は火山活動の活発化に伴う応力変動を反映して発生したものであると考えられる.
 次に,地震モーメントの積算値の時間変化を調べてみると,最も開きやすい面に火山性流体が集中的に貫入し始めた12月の下旬頃から微動発生前までの期間に,非調和的な地震活動が調和的な地震活動を上回ることがわかった.この面に流体が貫入すると,貫入面の外壁側でその法線方向の圧縮応力が高まり,間隙流体圧レベルに応じて最大水平主圧縮軸の方向が局所的に入れ替わる(e.g., Kendall et al., 2025).応力場の変化した場所では,新たな最大水平主圧縮軸,つまりS3Rに沿う面に流体が貫入すると考えられる.実際,この期間のメカニズム解のT軸の分布は,S1RとS3Rの方向にピークを持つ二峰性分布となり,2つのピークは,それぞれ広域応力場に非調和的及び調和的な地震に対応する.御嶽山直下では,火山性流体がS1R方向とS3R方向に走向を持つ互いに直交する面に貫入し,これらの面から構成される熱水循環システムが発達している可能性が高い.この過程の中で,間隙流体圧のなす仕事により流体貫入面の周辺弾性領域に弾性歪エネルギーが蓄積し,これをエネルギーとして火山性群発地震が発生しているものと考えられる.