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[S25-01]The 2025 Kamchatka Peninsula, Russia Earthquake Tsunami Observed by S-net, DONET and N-net

*Wataru Suzuki1, Tatsuya Kubota1, Takeshi Nakamura2, Shin Aoi1, Naotaka Chikasada1, Takayuki Miyoshi1 (1. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, 2. Central Research Institute of Electric Power Industry)
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日本時間2025年7月30日8時24分頃、カムチャツカ半島の東方沖を震源とするマグニチュード8.8(気象庁によるモーメントマグニチュード)の地震が発生した。気象庁は8時37分に太平洋沿岸の地域を中心に津波注意報を発表し、9時40分に津波警報へと切り替えるなど警戒を呼び掛けた。国内の沿岸では岩手県久慈港での1.4 mを最大として、北海道から沖縄県まで津波が観測された。防災科学技術研究所(防災科研)では、東日本太平洋沖合に日本海溝海底地震津波観測網(S-net)を、南海トラフ域に地震・津波観測監視システム(DONET)と南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)を展開し、海域における地震計及び水圧計によるリアルタイムの地震津波観測を実施している。S-net、DONET、N-netにより本地震に伴う津波が捉えられており、一部のデータは気象庁が発表する沖合の津波観測に関する情報に用いられた。本発表ではこれらの3観測網による津波観測データについて紹介する。なお、今回の津波は、構築されたばかりのN-net沿岸システムにより観測された最初の事例である。
S-net水圧観測データに対して津波成分を抽出するためリアルタイムに通過帯域120秒から1,800秒のバタワースフィルタを施し、現在時刻の水圧変動の分布を地図上に可視化する仕組み(津波モニタ)を構築している。用いるフィルタは因果性を持つIIRフィルタで構成されており、ステップ応答の立ち上がりに120秒程度の遅延を持つことを確認している。添付図に9時50分から13時50分まで10分ごとの水圧変動分布を示す。9時50分に北海道根室沖の数点で海面上昇に対応する赤色が描画され、10時では赤く描画された観測点が西に移っており、海面上昇が北東からS-net設置海域に生じて伝播する様子を示している。津波モニタのフィルタによる遅延は前述の程度であり、津波走時計算プログラムTTTからはS-net設置海域への津波走時は1時間15分~30分と計算されるため、9時50分以降に伝播する海面上昇(押し波)は本地震による津波の第1波と考えられる。第1波は大局的には南西に伝播して11時くらいまでに房総半島沖に達し、第1波の後に青色で描画される引き波と再度押し波が続いて伝播している。これらの波群がS-net設置海域を抜けた後、11時40分以降に北東から伝播する波群は波長が短く、本州沿岸に近づく12時10分以降の振幅は第1波より大きいという特徴が見られる。描画された13時50分までそのような波群が繰り返し到来している。久慈港の最大波は13時52分に観測されており、これらの後続の波群による影響が考えられる。
S-netの水圧変動波形を北から順に並べた記録断面を作成すると片振幅5 cm程度~数cmの第1波が北から南に、DONETとN-netの東から順に並べた記録断面では東から西に伝播する様子が確認された。定量的な評価ではないものの、地震発生から24時間程度までは一定の水位変動が継続し36時間程度で一度落ち着きが見られるが、46時間以降に再び数cm程度に振幅が大きくなった。この波群は南米大陸で反射して太平洋を往復した津波と考えられ、S-net記録断面では北の観測点で出現がやや遅く、DONET・N-net記録断面では東から西に伝播するように見える。地震発生後速やかにモーメントテンソル解に基づき波源域の設定及び津波伝播の順解析を行い、第一近似解として日本列島周辺の波高分布や津波観測点の波形を予測するシステム(中村・他、2017、2018;地震学会)により、Global CMTのプレート境界面に対応する節面の情報に基づき計算されたS-net、DONET、N-net観測点での波形を観測波形と比較した。観測波形についてはNAOTIDEJを用いて計算されるNAO.99Jb(Matsumoto et al., 2000)に基づく理論潮汐を引き、両波形に120秒から7,200秒のバンドパスフィルタをかけた第1波について、S-net観測点では計算波形は観測波形をよく説明している。DONETとN-net観測点では振幅と形状はよく一致する一方、位相については計算波形が観測波形よりやや早い傾向が見られ、伝播距離が長い分ずれが生じてきた可能性がある。また計算波形は第1波後の波が、観測波形同様に短波長となる特徴も示している。
このようにS-net、DONET、N-netの水圧観測データを面的分布、記録断面で表示することや計算波形と比較することにより、カムチャツカ半島地震による津波の特徴を捉えることができた。