講演情報

[11]「歩く旅」がもたらす地域への意識と関わりの変容-みちのく潮風トレイルのハイカーを対象として

○山岸 颯汰1、後藤 春彦2、林 廷玟3 (1. 西日本旅客鉄道株式会社、2. 早稲田大学理工学術院、3. 早稲田大学創造理工学部社会文化領域)

キーワード:

歩く旅、ロングトレイル、ハイカー、共事者、みちのく潮風トレイル

20世紀以降、モータリゼーションの進展と公共交通の発達に伴い、逆説的に徒歩移動の意義が多く語られてきた。近年では、歩くこと自体を目的とする「歩く旅」が注目を集めており、地方圏の維持・活性化への貢献が期待されている。本研究で対象とするみちのく潮風トレイル(MCT)は、ルートに多くの生活圏を含んでおり、沿道地域と連携したハイカーの受け入れ体制が構築されている。よって、MCTのハイカーは「歩く旅」を通して人びとや物事との出会いを積み重ねており、沿道地域への意識や関わりを変容させていく主体としての側面を有すると考えられる。本研究では、「歩く旅」前後での沿道地域に対する意識と関わり、及びその変化の要因を分析した。その結果、ハイカーは「歩く旅」を通して地域への関心を広げるとともに、地域との関係性への意識の深化もみられ、継続的な関わりへと至っていることが明らかとなった。また、変容をもたらす「歩く旅」の要素を類型化し、意識と関わりとの繋がりの傾向を明らかにした。そして、得られた知見に基づき、「歩く旅」を通したハイカーの「共事者」への変容の可能性とその有用性及び、「歩く旅」の展開におけるハード・ソフト両面での整備の重要性について論じた。