講演情報

[P-070]愛知県下介護施設職員による口腔ケア,食事支援の意識調査

○丹羽 浩1、武藤 直広1、冨田 健嗣1、鈴木 雄一郎1、日置 章博1、宮本 佳宏1、山中 一男1、上村 誠一郎1、池山 正仁1、内堀 典保1 (1. 一般社団法人愛知県歯科医師会)
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【目的】
 口腔ケアが誤嚥性肺炎を予防する知見から,介護現場で口腔管理の重要性が認知されてきた。しかし,介護職員が日常の口腔ケア,食事支援を行う際,不明点を歯科側に質問したり,また歯科側は介護現場がどのように関与しているか把握することは,歯科の介護現場への協力等を考える上で重要である。今回愛知県歯科医師会では,平成28年から令和6年に行われた介護職員口腔ケア研修会受講者に,口腔ケア,食事支援についてアンケート調査を行い,今後の取り組みを考察する。
【方法】
 介護職員口腔ケア研修会出席者に,研修内容のどの部分が役立つと思いますか,協力歯科医師の有無,訪問歯科診療,歯科衛生士の口腔ケアの頻度,食事支援の頻度をアンケート形式で調査した。集計,分析には既存の匿名化情報のみを用いた。 
【結果と考察】
 参加者の内訳は各年度6~8割が介護福祉士,次いでヘルパー,介護支援専門員,看護師であった。研修内容でどの分野が今後役立つと思いますかについて,口腔ケア,義歯の取り扱いで6~7割を占め,摂食嚥下リハビリ,食事支援は2割ほどだった。口腔ケア,食事支援を相談できる協力歯科医師の有無は, 7割~8割いると回答した。訪問歯科診療,歯科衛生士による口腔ケアの頻度は,ほぼ毎週,月に1~2回で8割以上占められ,月1回や未実施という回答は1割未満だった。経年的に歯科衛生士による口腔ケアの未実施は減少していた。食事支援の頻度について,月1回や未実施が8~9割を占め,ほぼ毎週や月に1~2回は1割未満だった。経年的に食事支援の未実施群は減少していた。ほぼすべての回答者は口腔ケアや義歯の取り扱いは関心を持っているが,摂食嚥下リハビリや食事支援の関心はまだ周知されていない可能性がある。訪問歯科診療,歯科衛生士による口腔ケアはほぼ行われていたが,食事支援についてはまだ普及しているとは言えず,今回の結果を踏まえ,愛知県歯科医師会では,口腔ケア,義歯の取り扱いなどを引き続き周知させると共に,口腔機能低下症,摂食嚥下リハビリ,栄養摂取,食事支援の重要性を介護スタッフに周知させ,歯科医師も積極的に食事支援に関わるよう周知する必要性を認識した。
(COI開示:なし)(倫理審査対象外)