講演情報
[O-2-08]咀嚼模擬装置による「カムカム食」咀嚼時の筋活動の定量的推定 第二報-咀嚼中の筋活動調節様相の推定-
○井上 元幹1、神田 玲奈1、小城 明子2、松尾 浩一郎3 (1. 株式会社 明治、2. 東京医療保健大学、3. 東京科学大学)
【目的】
オーラルフレイル予防のために噛みごたえが強化され,栄養価の高い食品(カムカム食)として開発されたカムカム食は,咀嚼中の筋活動を高める効果が認められている。その効果は食品の物性に起因するが,咀嚼中の食品物性を評価することは困難であった。本研究の目的は,ヒトの筋活動と相関するデータが取得可能な咀嚼プロセスシミュレータORAL-MAPS(OM)を用いて咀嚼中の食品物性を評価することで,食品物性に対する反応として調節される筋活動を推定することである。
【方法】
試験食品として,カムカム食にレンコン入りハンバーグとアーモンド入りつくね,対照食品に一般的なハンバーグとつくねを用意し,測定には5.0±0.5gを用いた。OMは,体温程度に調温した環境内で人工唾液を加えて食品を反復圧縮することで咀嚼を模擬し,圧縮毎の荷重[N]と時間[s]の積から力積[N・s]を算出することで物性推移を評価する装置である。本研究では圧縮力上限400N,人工唾液流量4mL/min,圧縮回数30回,圧縮頻度1回/秒の運転条件に設定し,10回の圧縮毎に初期,中期,後期に分けて各区分における力積の和(総力積)を算出した。試験は同条件で3回ずつ実施し,区分間の比較には,Kruskal-Wallis検定とScheffeの多重比較検定を用いた。食品間の比較では区分毎にカムカム食と対照食品の総力積の比を求めた。
【結果と考察】
区分間の比較では,全ての試験食品で初期から後期の間に総力積が有意(p<0.05)に低下しており,模擬咀嚼による食品物性の変化が認められた。食品間の比較では,初期,中期,後期の総力積の比はハンバーグの場合1.3倍,1.3倍,1.1倍であり,つくねの場合は2.6倍,1.8倍,1.5倍であった。両試料において初期から後期にかけてカムカム食と対照食品の比は小さくなる傾向が示された。
本結果から,OMの模擬咀嚼は食品を軟らかい食塊へと変化させ,同時にその物性変化を経時的に測定出来ることを確認した。また,今回評価したカムカム食は初期では対照食品との差異が大きく,後期では対照食品に近い物性の食塊に変化する特徴を持つことが示された。咀嚼筋活動は食品物性に応じて調節されるため,OMから得られる食品物性の推移は,咀嚼中の筋活動調節を推定するために利用できる。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
オーラルフレイル予防のために噛みごたえが強化され,栄養価の高い食品(カムカム食)として開発されたカムカム食は,咀嚼中の筋活動を高める効果が認められている。その効果は食品の物性に起因するが,咀嚼中の食品物性を評価することは困難であった。本研究の目的は,ヒトの筋活動と相関するデータが取得可能な咀嚼プロセスシミュレータORAL-MAPS(OM)を用いて咀嚼中の食品物性を評価することで,食品物性に対する反応として調節される筋活動を推定することである。
【方法】
試験食品として,カムカム食にレンコン入りハンバーグとアーモンド入りつくね,対照食品に一般的なハンバーグとつくねを用意し,測定には5.0±0.5gを用いた。OMは,体温程度に調温した環境内で人工唾液を加えて食品を反復圧縮することで咀嚼を模擬し,圧縮毎の荷重[N]と時間[s]の積から力積[N・s]を算出することで物性推移を評価する装置である。本研究では圧縮力上限400N,人工唾液流量4mL/min,圧縮回数30回,圧縮頻度1回/秒の運転条件に設定し,10回の圧縮毎に初期,中期,後期に分けて各区分における力積の和(総力積)を算出した。試験は同条件で3回ずつ実施し,区分間の比較には,Kruskal-Wallis検定とScheffeの多重比較検定を用いた。食品間の比較では区分毎にカムカム食と対照食品の総力積の比を求めた。
【結果と考察】
区分間の比較では,全ての試験食品で初期から後期の間に総力積が有意(p<0.05)に低下しており,模擬咀嚼による食品物性の変化が認められた。食品間の比較では,初期,中期,後期の総力積の比はハンバーグの場合1.3倍,1.3倍,1.1倍であり,つくねの場合は2.6倍,1.8倍,1.5倍であった。両試料において初期から後期にかけてカムカム食と対照食品の比は小さくなる傾向が示された。
本結果から,OMの模擬咀嚼は食品を軟らかい食塊へと変化させ,同時にその物性変化を経時的に測定出来ることを確認した。また,今回評価したカムカム食は初期では対照食品との差異が大きく,後期では対照食品に近い物性の食塊に変化する特徴を持つことが示された。咀嚼筋活動は食品物性に応じて調節されるため,OMから得られる食品物性の推移は,咀嚼中の筋活動調節を推定するために利用できる。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)