講演情報
[SY2-1]病院歯科と診療所との違いを仮想症例を通じて検討する
○元橋 靖友1 (1. 武蔵村山病院 歯科科長)
【略歴】
2001年 東京医科歯科大学歯学部歯学科卒
2001-2005年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野
2005年- 社会医療法人財団大和会 武蔵村山病院 歯科
2001年 東京医科歯科大学歯学部歯学科卒
2001-2005年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野
2005年- 社会医療法人財団大和会 武蔵村山病院 歯科
病院歯科といってもその診療内容や対象患者や規模は各病院によって様々である。病院歯科の医療保険制度を知るうえで、前提となる病院歯科に対して各々異なるイメージを持って議論してもかえって理解の妨げとなる。そのため病院歯科のもつ機能を便宜的に以下に示す3つに分類した。
①2次医療機関としての病院歯科
②高齢者対応型歯科としての病院歯科
③一般外来患者を対象とした病院歯科
2次医療機関としての病院歯科は智歯を含む難抜歯、顎顔面領域の蜂窩織炎や顎炎などの炎症、顎骨骨折や歯牙脱臼、顎顔面の良性・悪性腫瘍といった一般診療所からの紹介患者を主とする口腔外科領域の診療を示す。高齢者対応型歯科としての病院歯科は脳血管疾患等による日常生活動作の低下や、高齢や他疾患による全身状態の医学的管理が必要となる症例、また嚥下障害といった高齢者に多くみられる歯科的な配慮が必要な症例に対して、急性期・回復期・維持期といった流れの中でのアプローチを主とする高齢者歯科領域の診療を示す。一般外来患者を対象とした病院歯科は病院に通院する患者を対象とする一般歯科領域の診療を示す。各病院歯科はいずれかに分類されるわけではない。各分類の診療をそれぞれの病院歯科が異なる割合で混合してその機能を持ち合わせているのが実情と考えられる。病院歯科と一括りにして考えるのではなくその機能を分類することで診療報酬を考えると診療所との違いがみえてくる。
今回は回復期リハ病棟に入院している高齢障害者で抜歯が必要な残根状態の歯牙がありつつ義歯新製も必要な症例を想定した。病院歯科ですべての治療を行う場合、病院歯科では口腔機能管理だけで退院後に訪問歯科で治療を行う場合、病院歯科で抜歯だけは行い退院後に訪問歯科で義歯新製を行う場合、といったように治療する場を変化させることで診療報酬と治療内容がどのように異なるかを検討した。病院歯科ですべての診療を行う場合は外来扱いになるため訪問歯科で診療回数が多くなる場合と比較すると全体の医療費は減少する。退院後に訪問歯科で診療を行う場合は保存的な対応となることが多く長期間の介入となるため良好な口腔機能を保ちやすいといった強みがある。病院歯科で抜歯だけを行い退院後に補綴を行う場合は抜歯に伴うリスクを低減させつつ治療できるが患者の心理的な問題が生じる場合がある。高齢障害者が自宅退院した後に訪問歯科だけではなく2次医療機関としての病院歯科と連携すれば全体的な医療費削減につながる可能性がある。病院機能や対象の状態によって治療内容や対応可能人数が異なるので一律に診療報酬の標準値を設けたり人数を定めたりすることはかえって有用な治療機会の制約につながる可能性があると考えられる。
①2次医療機関としての病院歯科
②高齢者対応型歯科としての病院歯科
③一般外来患者を対象とした病院歯科
2次医療機関としての病院歯科は智歯を含む難抜歯、顎顔面領域の蜂窩織炎や顎炎などの炎症、顎骨骨折や歯牙脱臼、顎顔面の良性・悪性腫瘍といった一般診療所からの紹介患者を主とする口腔外科領域の診療を示す。高齢者対応型歯科としての病院歯科は脳血管疾患等による日常生活動作の低下や、高齢や他疾患による全身状態の医学的管理が必要となる症例、また嚥下障害といった高齢者に多くみられる歯科的な配慮が必要な症例に対して、急性期・回復期・維持期といった流れの中でのアプローチを主とする高齢者歯科領域の診療を示す。一般外来患者を対象とした病院歯科は病院に通院する患者を対象とする一般歯科領域の診療を示す。各病院歯科はいずれかに分類されるわけではない。各分類の診療をそれぞれの病院歯科が異なる割合で混合してその機能を持ち合わせているのが実情と考えられる。病院歯科と一括りにして考えるのではなくその機能を分類することで診療報酬を考えると診療所との違いがみえてくる。
今回は回復期リハ病棟に入院している高齢障害者で抜歯が必要な残根状態の歯牙がありつつ義歯新製も必要な症例を想定した。病院歯科ですべての治療を行う場合、病院歯科では口腔機能管理だけで退院後に訪問歯科で治療を行う場合、病院歯科で抜歯だけは行い退院後に訪問歯科で義歯新製を行う場合、といったように治療する場を変化させることで診療報酬と治療内容がどのように異なるかを検討した。病院歯科ですべての診療を行う場合は外来扱いになるため訪問歯科で診療回数が多くなる場合と比較すると全体の医療費は減少する。退院後に訪問歯科で診療を行う場合は保存的な対応となることが多く長期間の介入となるため良好な口腔機能を保ちやすいといった強みがある。病院歯科で抜歯だけを行い退院後に補綴を行う場合は抜歯に伴うリスクを低減させつつ治療できるが患者の心理的な問題が生じる場合がある。高齢障害者が自宅退院した後に訪問歯科だけではなく2次医療機関としての病院歯科と連携すれば全体的な医療費削減につながる可能性がある。病院機能や対象の状態によって治療内容や対応可能人数が異なるので一律に診療報酬の標準値を設けたり人数を定めたりすることはかえって有用な治療機会の制約につながる可能性があると考えられる。