講演情報
[SY2-3]回復期リハビリテーション病棟における口腔管理と診療報酬
○野本 亜希子1 (1. 浜松市リハビリテーション病院 歯科 医長)
【略歴】
2012年 東北大学歯学部卒業
2013年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 大学院研究生
(2016年 同医員)
2017年 浜松市リハビリテーション病院 歯科
2022年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野大学院修了
(2022年 同非常勤講師 現在に至る)
2024年 浜松市リハビリテーション病院 歯科 医長 現在に至る
2012年 東北大学歯学部卒業
2013年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 大学院研究生
(2016年 同医員)
2017年 浜松市リハビリテーション病院 歯科
2022年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野大学院修了
(2022年 同非常勤講師 現在に至る)
2024年 浜松市リハビリテーション病院 歯科 医長 現在に至る
2024年度の診療報酬改定では、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の連携および推進が大きなテーマとなり、これらの連携に対する加算や点数が数多く新設された。回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期)においては、回復期リハビリテーション病棟入院料1・2の施設基準に、口腔ケアの実施および必要に応じた歯科受診の促進が要件として追加された。
歯科領域の回復期関連では、地域歯科診療支援病院の歯科初再診料の施設基準が見直されるとともに、新たに「回復期等口腔機能管理計画策定料(300点)」「回復期等口腔機能管理料(200点)」「回復期等口腔衛生処置(100点)」が新設された。これにより、歯科を標榜する病院や、回復期に訪問診療を行う歯科診療所がこれらの点数を算定できるようになった。これらの加算の新設は、回復期における歯科による口腔管理を推進するものであり、今後その重要性がさらに高まると考えられる。しかし一方で、改定から約1年が経過した現在、臨床現場ではさまざまな課題が浮かび上がっている。例えば、回復期口腔機能管理料を算定すると、歯科疾患管理料が算定できないため、口腔機能低下症を病名とした口腔機能の検査料も算定できない。当院の調査によると、脳卒中回復期の患者における歯科初診時の評価では、72.4%に舌圧低下、60.4%に咬合力低下が認められた。さらに、口腔機能は食形態の調整に直結する要素であり、回復期においては、口腔機能訓練により短期間で口腔機能が改善する可能性がある。そのため、入院中に複数回の口腔機能検査を実施することが望ましいが、現行の診療報酬制度では、数ヶ月以内に複数回の検査を実施することが認められていない。また、回復期口腔機能管理料を算定した患者では、歯科治療時医療管理料の算定ができないことも課題である。回復期では、退院後を見据えた比較的侵襲度の高い歯科治療を複数回行うことが想定される。しかし、血圧モニタリングが必要な治療を1ヶ月の間に複数回実施する場合、歯科疾患管理料と歯科治療時医療管理料の組み合わせの方が、回復期口腔機能管理料を算定するよりも診療報酬が高くなる。その結果、回復期口腔機能管理料のメリットが薄れてしまう可能性がある。
本シンポジウムでは、これらの課題について、歯科を標榜する回復期リハビリテーション病院の一例を提示し、回復期における口腔管理の推進に向けた今後の課題について議論を深めたい。
歯科領域の回復期関連では、地域歯科診療支援病院の歯科初再診料の施設基準が見直されるとともに、新たに「回復期等口腔機能管理計画策定料(300点)」「回復期等口腔機能管理料(200点)」「回復期等口腔衛生処置(100点)」が新設された。これにより、歯科を標榜する病院や、回復期に訪問診療を行う歯科診療所がこれらの点数を算定できるようになった。これらの加算の新設は、回復期における歯科による口腔管理を推進するものであり、今後その重要性がさらに高まると考えられる。しかし一方で、改定から約1年が経過した現在、臨床現場ではさまざまな課題が浮かび上がっている。例えば、回復期口腔機能管理料を算定すると、歯科疾患管理料が算定できないため、口腔機能低下症を病名とした口腔機能の検査料も算定できない。当院の調査によると、脳卒中回復期の患者における歯科初診時の評価では、72.4%に舌圧低下、60.4%に咬合力低下が認められた。さらに、口腔機能は食形態の調整に直結する要素であり、回復期においては、口腔機能訓練により短期間で口腔機能が改善する可能性がある。そのため、入院中に複数回の口腔機能検査を実施することが望ましいが、現行の診療報酬制度では、数ヶ月以内に複数回の検査を実施することが認められていない。また、回復期口腔機能管理料を算定した患者では、歯科治療時医療管理料の算定ができないことも課題である。回復期では、退院後を見据えた比較的侵襲度の高い歯科治療を複数回行うことが想定される。しかし、血圧モニタリングが必要な治療を1ヶ月の間に複数回実施する場合、歯科疾患管理料と歯科治療時医療管理料の組み合わせの方が、回復期口腔機能管理料を算定するよりも診療報酬が高くなる。その結果、回復期口腔機能管理料のメリットが薄れてしまう可能性がある。
本シンポジウムでは、これらの課題について、歯科を標榜する回復期リハビリテーション病院の一例を提示し、回復期における口腔管理の推進に向けた今後の課題について議論を深めたい。