講演情報
[SY7-2]薬剤と嚥下障害~生活期での現状と課題~
○田中 信和1 (1. 大阪大学歯学部附属病院 顎口腔機能治療部)
【略歴】
平成16年3月 長崎大学 歯学部 歯学科 卒業
平成16年4月 大阪大学歯学部附属病院 歯科医師研修医(顎口腔機能治療部入局)
平成18年4月 大阪大学歯学部附属病院 顎口腔機能治療部 医員
平成23年4月 重症心身障害者施設 四天王寺和らぎ苑歯科 歯科科長
平成25年3月 大阪大学博士号取得(歯学博士)
平成26年6月~ 大阪大学歯学部附属病院 顎口腔機能治療部 助教兼外来医長
現在に至る。
【学会の認定医など】
・日本老年歯科医学会 専門医、摂食機能療法専門歯科医師
・日本障害者歯科学会 認定医
・日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定療法士
・日本睡眠歯科学会 認定医
平成16年3月 長崎大学 歯学部 歯学科 卒業
平成16年4月 大阪大学歯学部附属病院 歯科医師研修医(顎口腔機能治療部入局)
平成18年4月 大阪大学歯学部附属病院 顎口腔機能治療部 医員
平成23年4月 重症心身障害者施設 四天王寺和らぎ苑歯科 歯科科長
平成25年3月 大阪大学博士号取得(歯学博士)
平成26年6月~ 大阪大学歯学部附属病院 顎口腔機能治療部 助教兼外来医長
現在に至る。
【学会の認定医など】
・日本老年歯科医学会 専門医、摂食機能療法専門歯科医師
・日本障害者歯科学会 認定医
・日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定療法士
・日本睡眠歯科学会 認定医
高齢者の嚥下障害は,その主たる原因疾患によるものだけでなく,様々な因子によって修飾・助長されることが知られている.それらの因子は,併存疾患や廃用,環境など多様であるが,近年そのひとつとして,ポリファーマシーなどの薬剤の影響が注目されている.ポリファーマシーは,「多剤服用によって薬物有害事象のリスクの増加や,服薬アドヒアランスの低下,服薬の間違いなどにつながる状態」と定義され,加齢による生理的な変化や複数の併存疾患の治療ために多剤服用となる高齢者では,全身状態にも影響を与える.そのため,薬剤の適正使用やリスクに関する指針やガイドラインが老年各学会等から発表されるなど,高齢者医療において薬剤への対応への重要性は増している.
この潮流は歯科医療においても例外ではなく,特に摂食嚥下機能に関わる問題については,厚生労働省から示された「高齢者の医薬品適正使用の指針」のなかもでも,歯科医療者が担うことが期待される役割として「口腔内環境や嚥下機能を確認し,薬剤を服用できるかどうか」の服薬に関わる支援だけでなく,「薬物有害事象としての嚥下機能の低下等がないか」の確認,つまり薬剤によって生じる嚥下障害を適切に診断し対応することが明記されており,今後は,ポリファーマシーによる嚥下障害への理解が歯科医療者にも求められる.
われわれ歯科医療者がポリファーマシーに遭遇し,対応が求められる機会が最も多いのは,摂食嚥下リハビリテーションや食支援で関わる機会が多い,施設や在宅で療養している生活期(慢性期)の要介護高齢者と考えられる.生活期の要介護高齢者では,慢性疾患に対して処方されている薬剤数が多いことに加えて,対象者が急性期や回復期病院などから移行してきた場合では,病院での加療中に発症・増悪したBPSDやせん妄などに対して向精神病薬などの処方が追加されていることも多く,それらが「食事を食べない」,「うまく食べられない」,「ムせる」などの嚥下障害の原因となっていることがしばしば経験される.なかには,これらの薬剤の処方が,環境移行時に見直されることなく漫然と継続されていることもあり,これらのようなケースに対して原因薬剤の見直しあるいは不要な薬剤の減薬を他職種に報告・相談するなどの連携が必要となる.
薬剤の有害事象としての嚥下障害は,時として誤嚥性肺炎や窒息など生命予後に関わる問題となる一方,嚥下障害が慢性経過をたどることが多い生活期において,数少ない改善可能な嚥下障害であり,患者やその家族,介護者のQOLにも大きく関わる可能性もある.本講演では,生活期で歯科医療者が関わる,薬剤による嚥下障害の現状,その対応や課題について,これまでの臨床での経験も踏まえて話したい.
この潮流は歯科医療においても例外ではなく,特に摂食嚥下機能に関わる問題については,厚生労働省から示された「高齢者の医薬品適正使用の指針」のなかもでも,歯科医療者が担うことが期待される役割として「口腔内環境や嚥下機能を確認し,薬剤を服用できるかどうか」の服薬に関わる支援だけでなく,「薬物有害事象としての嚥下機能の低下等がないか」の確認,つまり薬剤によって生じる嚥下障害を適切に診断し対応することが明記されており,今後は,ポリファーマシーによる嚥下障害への理解が歯科医療者にも求められる.
われわれ歯科医療者がポリファーマシーに遭遇し,対応が求められる機会が最も多いのは,摂食嚥下リハビリテーションや食支援で関わる機会が多い,施設や在宅で療養している生活期(慢性期)の要介護高齢者と考えられる.生活期の要介護高齢者では,慢性疾患に対して処方されている薬剤数が多いことに加えて,対象者が急性期や回復期病院などから移行してきた場合では,病院での加療中に発症・増悪したBPSDやせん妄などに対して向精神病薬などの処方が追加されていることも多く,それらが「食事を食べない」,「うまく食べられない」,「ムせる」などの嚥下障害の原因となっていることがしばしば経験される.なかには,これらの薬剤の処方が,環境移行時に見直されることなく漫然と継続されていることもあり,これらのようなケースに対して原因薬剤の見直しあるいは不要な薬剤の減薬を他職種に報告・相談するなどの連携が必要となる.
薬剤の有害事象としての嚥下障害は,時として誤嚥性肺炎や窒息など生命予後に関わる問題となる一方,嚥下障害が慢性経過をたどることが多い生活期において,数少ない改善可能な嚥下障害であり,患者やその家族,介護者のQOLにも大きく関わる可能性もある.本講演では,生活期で歯科医療者が関わる,薬剤による嚥下障害の現状,その対応や課題について,これまでの臨床での経験も踏まえて話したい.