講演情報
[SY7-4]歯科と薬剤師(薬局)がつなぐ地域多職種連携
○吉見 佳那子1 (1. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野 助教)
【略歴】
2014年 徳島大学歯学部 卒業
2018年 東京医科歯科大学歯学部附属病院スペシャルケア外来 医員
2019年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 修了
2020年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野医員
2021年 同分野 特任助教
2023年 同分野 助教(現職)
日本老年歯科医学会(認定医、専門医、摂食機能療法専門歯科医師、代議員)
日本摂食嚥下リハビリテーション学会(認定士、評議員)
日本栄養治療学会(認定歯科医)
日本障害者歯科学会
2014年 徳島大学歯学部 卒業
2018年 東京医科歯科大学歯学部附属病院スペシャルケア外来 医員
2019年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 修了
2020年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野医員
2021年 同分野 特任助教
2023年 同分野 助教(現職)
日本老年歯科医学会(認定医、専門医、摂食機能療法専門歯科医師、代議員)
日本摂食嚥下リハビリテーション学会(認定士、評議員)
日本栄養治療学会(認定歯科医)
日本障害者歯科学会
私たちも、錠剤やカプセルが処方された際に飲み込みづらさを感じたり、咽頭や食道に薬剤が残っているような感覚を経験したことがあるだろう。高齢者や嚥下障害患者は、口腔・嚥下機能の低下により本人の服薬困難の自覚がない場合が多く、実際に口腔や咽頭に残薬を認めることがある。服用困難により期待される薬効が十分に発揮されず、全身状態に影響を及ぼす可能性があるだけでなく、薬剤によっては残薬で粘膜潰瘍を生じるリスクがあるため注意が必要である。さらに、服用時に摂取した水分でむせたり誤嚥する場合には誤嚥性肺炎のリスクが高まる。このように、高齢者や摂食嚥下障害患者における薬剤の問題に対応するには、薬剤の副作用による口腔・嚥下機能への影響に加え、処方された薬を「安全かつ確実に服用できているか」という視点を持つことが重要である。特に、本人に服薬困難の自覚がない場合には、医療者側がその状況に気付き適切に対応することが求められる。
当分野の摂食嚥下診療でも、食支援に加えて薬剤の問題に対応している。訪問診療では、経口摂取が困難となった患者に対し、介護者から服薬方法について相談を受けることが多い。また当院には口腔外科病棟があり、口腔がん術後患者が経管栄養管理から経口摂取へ移行する際には、安全に摂取できる服薬方法や剤型を検討し、模擬錠剤や実際の薬剤を用いて嚥下機能評価をしている。歯科専門職種が口腔・嚥下機能評価の結果をふまえて薬剤の服用方法や剤型について提案をするが、これらの対応は歯科単科で可能なものではなく、薬剤師(薬局)をはじめとする多職種との連携が不可欠である。
一方で、現行の薬学教育モデル・コア・カリキュラムには、口腔や摂食嚥下に関する内容が含まれていない。そのため、薬剤師は臨床現場に出て初めてこれらの課題に直面することが多い。こうした背景から、口腔や摂食嚥下に関する基礎的知識についての教育のニーズが高まっている。当分野では、地域で在宅調剤センターを運営する薬局グループと連携し、薬剤師への教育活動を進めている。これらの教育を受けた薬剤師が活躍することで、薬剤管理にとどまらず、服薬困難や口腔の問題を早期に発見し他職種につなぐことが可能となると考える。また、在宅医療では歯科と薬剤師(薬局)が直接連携するケースが少ないのが現状であるが、効果的な歯薬連携のモデルケースとして、訪問薬剤師が口腔の評価を行い、歯科治療を要する利用者を歯科医療機関へつなぐ取り組みも進めている。本シンポジウムでは、歯科と薬剤師(薬局)の連携について、課題と今後のあり方について考えたい。
当分野の摂食嚥下診療でも、食支援に加えて薬剤の問題に対応している。訪問診療では、経口摂取が困難となった患者に対し、介護者から服薬方法について相談を受けることが多い。また当院には口腔外科病棟があり、口腔がん術後患者が経管栄養管理から経口摂取へ移行する際には、安全に摂取できる服薬方法や剤型を検討し、模擬錠剤や実際の薬剤を用いて嚥下機能評価をしている。歯科専門職種が口腔・嚥下機能評価の結果をふまえて薬剤の服用方法や剤型について提案をするが、これらの対応は歯科単科で可能なものではなく、薬剤師(薬局)をはじめとする多職種との連携が不可欠である。
一方で、現行の薬学教育モデル・コア・カリキュラムには、口腔や摂食嚥下に関する内容が含まれていない。そのため、薬剤師は臨床現場に出て初めてこれらの課題に直面することが多い。こうした背景から、口腔や摂食嚥下に関する基礎的知識についての教育のニーズが高まっている。当分野では、地域で在宅調剤センターを運営する薬局グループと連携し、薬剤師への教育活動を進めている。これらの教育を受けた薬剤師が活躍することで、薬剤管理にとどまらず、服薬困難や口腔の問題を早期に発見し他職種につなぐことが可能となると考える。また、在宅医療では歯科と薬剤師(薬局)が直接連携するケースが少ないのが現状であるが、効果的な歯薬連携のモデルケースとして、訪問薬剤師が口腔の評価を行い、歯科治療を要する利用者を歯科医療機関へつなぐ取り組みも進めている。本シンポジウムでは、歯科と薬剤師(薬局)の連携について、課題と今後のあり方について考えたい。