講演情報
[D3-04]都市防災整備の経済効果:東京都の危険密集市街地整備の事例
*河端 瑞貴1、直井 道生1、安田 昌平2 (1. 慶應義塾大学経済学部、2. 日本大学経済学部)
キーワード:
危険密集市街地、路線価、空間回帰不連続デザイン、東京
災害リスクの高い世界各地で防災都市づくりが進められてきた。都市防災整備を推進してきた東京都では、地震時等に著しく危険な密集市街地(危険密集市街)の面積が、2012年の1,683 haから2021年には103 haに減少するなど、顕著な減災効果が認められる。しかし、こうした地震被害リスクを軽減する都市防災整備の経済効果に焦点を当てた実証研究は少ない。我々はこれまでの研究において、単年の危険密集市街地データ(2017年)と空間回帰不連続デザインを用いて、危険密集市街地の解消が地価(固定資産税路線価)に与える影響(境界効果)を推定した。本研究では、危険密集市街地のパネルデータ(2012年、2017年、2020年)を用いて、危険密集市街地が解消した境界付近のサンプルを用いた境界効果の変化を分析し、より現実的な危険密集市街地解消の経済効果を分析した。その結果、危険密集市街地を解消する都市防災整備には、地価を段階的に上昇させる効果のあることが示唆された。
