講演情報

[OEL01-1]慢性腎臓病患者の腎臓リハビリテーション:患者の希望とWell-beingを求めて

柴垣 有吾 (聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科)
1993年医学部卒業
1999年Henry Ford病院
2001年Oregon Health Sciences 大学
2008年聖マリアンナ医科大学
2015年現職
日本は急速な少子高齢化により、超高齢社会と同時に生産年齢人口の急減という未曾有の社会構造変化に直面している。この状況下で、従来の疾患中心・延命重視の医療モデルは限界を露呈しており、とりわけ超高齢者診療においては、医療の進歩が必ずしも患者の幸福や生活の質(QOL)向上につながっていない現実がある。高齢者の多くは多併存疾患(multimorbidity)と身体的・心理的・社会的フレイルを併せ持つ複雑な病態にあり、単疾患を前提とした診療ガイドラインの適用は、過剰治療やpolypharmacy、機能低下を招く危険性を孕む。さらに、高齢者にとって重要なアウトカムは死亡や臓器障害の抑制のみならず、ADL・認知機能の維持や尊厳ある生活であるが、これらは従来の臨床試験やガイドラインでは十分に評価されてこなかった。本稿では、超高齢社会における医療の課題として、患者志向アウトカムの重視、薬剤やデバイス偏重から脱却した多職種連携による腎臓リハビリテーション介入の重要性を論じる。今後の超高齢者診療のゴールは、限られた医療資源の中で、患者一人ひとりの価値観に寄り添い、身体・認知・社会機能を維持しながら、尊厳ある人生を支える医療モデルの構築にある。