講演情報

[OS03-2]同一医療法人内の同行看護師と訪問看護師の両方の立場を通して、特定行為実践を振り返る~実践価値と育成、制度の課題を考える~

椎名 美貴1,2 (1.医療法人社団悠翔会, 2.国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学)
【略歴】在宅医療に関わり10年目になります。急性期や終末期、治療中の患者さんへの在宅医療ニーズも増加しデジタル機器、AIの発展が離島へき地への医療提供の可能性を広げ、在宅療養の選択肢が広がりました。私自身も急性期の在宅医療・遠隔モニタリングにも取組み、看護師として多くの方の暮らしや看取りに関わり、日々の言語化できない直観・熟練したケアの知識構造化やIoTイノベーションを学ぶために研究活動も行っています。
略歴:
介護職を経て、2010年看護師資格取得総合病院で病棟1年、ERICU/ICU2年勤務し一時、ニューヨークへ語学留学
2014年~帰国後に在宅看護分野に転職
2018年 済生会横浜市東部病院で特定行為研修修了
2019年~訪問看護ステーション管理者6年
新型コロナウイルス地域療養モデル(遠隔看護)2年間従事
2022年~悠翔会在宅クリニックの訪問診療 同行看護
プライマリケア認定看護師取得
2023年~悠翔会訪問看護ステーション東京 
訪問看護公認心理師取得
2025年~北陸先端科学技術大学院大学 博士前期課程・西村拓一研究室所属
【はじめに】患者の在宅療養を支え、本人の意思決定に沿って「暮らしが中心」となる医療ケアを実現するために看護師特定行為研修修了者は活躍できる可能性があるが、その実現には課題も多い。同一医療法人内で訪問診療と訪問看護を運営する強みを活かした、特定行為実践を振り返り、特定行為の実施効果と有用性、課題と今後の展望を考察する。
【活動】私自身は訪問診療所を複数運営する医療法人内の訪問看護ステーションに勤務している。自宅療養者の重度褥瘡管理の際には特定行為のための時間はない。重症褥瘡・壊死症例では数か月単位を要する場合もあり、適応保険の確認と自費訪問の利用についても合意形成をしておくことも必要になる。それでも本人が望む環境で医療継続が行えることはリロケーションダメージを予防し、治癒後も生活に関連したリスク評価を行い再発予防ができる。以前は診療同行看護師としても褥瘡処置の実施を提案したこともあったが、処置・手技料を診療報酬で請求ができないこと、手順書加算が算定できないことなどを理由にほとんど実践に至らなかった。看護師が特定行為を実施することが収益減になると捉える診療所もあるなど、実践への収入上のインセンティブが実感しにくい。訪問看護ステーションも職員を研修に出すことの業務調整の負担や、研修費用負担は依然大きく看護師個人が負担することも多いが給与や役職への反映がない。
【考察】 育成、組織運営、制度などの課題はあるが在宅における物理的・距離的な介入頻度の制限やリスク管理をしながらも、処置・病状管理の中長期的な見通しを医師・介護職員、本人家族と共有し、生活と暮らしを看て統合的にアセスメント・マネジメントする看護師の視点が活かされる。 
【倫理的配慮】発表に関して所属法人、訪問看護事業部長の承認を得た。個人が特定されないように十分な倫理的配慮を行った。