講演情報

[OS08-4]訪問薬剤師の在宅化学療法への挑戦
―陰圧アイソレータを有する調剤薬局の先駆的取り組み―

土生 章太郎 (徳永薬局 成瀬在宅センター)
2017年3月 慶應義塾大学薬学部 卒業
2017年4月 稲城坂浜薬局 勤務
2019年6月 徳永薬局 国領店 勤務
2023年6月 徳永薬局 成瀬在宅センター 勤務
2024年8月 成瀬在宅センターにて陰圧アイソレータ稼働
当薬局は、主に在宅医療に携わる薬局として2015年6月に開局した。無菌調剤室を有するとともに、抗悪性腫瘍薬の調製が可能な陰圧アイソレータを備えている。本設備は開局後しばらく活用される機会がなかったが、2024年8月に近隣で訪問診療を行う血液内科専門医からの依頼を契機に、リツキシマブ点滴静注の対応を開始した。以降、2025年末までに、リツキシマブ点滴静注1例、ブリナツモマブ点滴静注2例、カルフィルゾミブ点滴静注3例、アザシチジン皮下注8例の対応実績を有するに至った。

近年、病床数削減などを背景に在宅医療への移行が推進されている。これに伴い、調剤薬局の在宅医療への介入も進み、慢性疾患患者や終末期患者(無菌調剤やPCAポンプを含む)への対応が可能な薬局・薬剤師は増加している。一方で、在宅で施行可能な化学療法も存在するものの、調製には専用設備を要するなどの課題があり、実際に取り組んでいる薬局は未だ少ないのが現状である。
化学療法が適応となる造血器疾患を有する患者は、高齢であることが多く、頻回な通院による身体的負担や感染リスクが問題となる場合がある。調剤薬局が薬剤調製などを通じて化学療法に関与することで、患者は在宅で化学療法を受けることが可能となり、これらの負担やリスクの軽減につながる点で、大きな意義があると考えられる。

本講演では、調剤薬局における陰圧アイソレータの活用開始から現在に至るまでの実際の取り組みや、多職種連携の状況について報告する。今後、在宅化学療法に携わることができる薬剤師および調剤薬局が、少しでも増えることを期待したい。