講演情報

[OS08-5]血液がん患者における在宅医療移行への課題解決と体制構築に向けて~血液がん在宅医療難民を防ぐために

天野 慎介 (一般社団法人全国がん患者団体連合会)
1973年東京都生まれ、慶應義塾大学商学部卒。2000年、27歳のときに悪性リンパ腫と診断され、化学療法、放射線療法、自家末梢血幹細胞移植を受ける。2回の再発を経験し、再発時の治療による間質性肺炎の急性増悪や進行性網膜外層壊死などの合併症を経験。自身の経験をもとに悪性リンパ腫の患者団体「グループ・ネクサス・ジャパン」の活動などに関わり、2009年から厚生労働省「がん対策推進協議会」の委員と会長代理を2期4年務めた。現在、一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長、一般社団法人神奈川県がん患者団体連合会理事長、一般社団法人日本医療安全学会理事の他に、厚生労働省医道審議会医師分科会医学生共用試験部会委員、社会保障審議会医療保険部会高額療養費制度の在り方に関する専門委員会委員、先進医療技術審査部会構成員、患者申出療養評価会議構成員、がん診療提供体制の在り方に関する検討会構成員、日本医療研究開発機構(AMED)課題評価委員、慶應義塾臨床研究審査委員会委員などを務める。
血液がん患者は、住み慣れた地域や治療を受けた医療機関に近い環境で継続してケアを受けたいという意向を有している。一方で、血液内科医と在宅医・多職種間の情報共有および連携が不足しており、サポーティブケアが必ずしも十分ではない。加えて、在宅医療で「何が可能で、何が不可能なのか(輸血、抗がん剤管理等)」が患者・専門医双方に可視化されておらず、移行への不安を増幅させている点や、血液疾患特有の急激な病状変化に対し、適切なタイミングでのアドバンス・ケア・プランニング(ACP)がなされていない点も在宅医療への移行に対する不安を抱かせている。血液がん患者のQOLを維持向上させつつ、持続可能な血液がんに関する在宅医療を両立させるためには、各地域で在宅医療が提供できる内容をリスト化し、血液内科医や患者が参照できるシステムを構築することで、可視化を進めることが必要である。加えて、血液内科医と在宅医が密に連携し、移行後も専門的なアドバイスを受けられる体制を確立するとともに、学会等が主導となり、在宅での輸血療法や緩和ケアの質を担保する「血液がん在宅移行モデル」を策定し、全国的な実証事業として展開する必要がある。