講演情報

[OS11-1]訪問看護における現状ツール「IMADOKO」導入の効果と地域展開

中村 恵 (AGO株式会社みのり訪問看護ステーション)
1995年 国立国際医療研究センター病院付属看護学校卒業
1995年 国立国際医療研究センター病院
2002年 国立がん研究センター東病院
2015年 AGO株式会社みのり訪問看護ステーション
【はじめに】
終末期がん患者の療養支援において、医療者が予測する週・日単位の予後と、患者・家族が抱く月・年単位の期待との認識の乖離は、適切な意思決定を阻害する。訪問看護師は単独でケアにあたる際、「あとどのくらいか」という予後への問いに答えることへの困難感や、問いの背景にある真のニーズを汲み取れない不全感を抱きやすい。当ステーションでは、現状を可視化し「今できること」に焦点を当てる現状確認ツール「IMADOKO」を導入、効果を検討した。
【経過】
2023年11月導入研修を実施後、看護師はパンフレットを携行し各自の判断で活用を開始。2024年5月事例共有と課題検討のフォローアップ研修を実施。2025年11月地域のケアマネジャー主催の研修が開催された。
【結果・導入後の変化】
看護師の変容: 深刻な話題も客観的かつ「一般的経過」として提示可能となり、看護師の心理的負担が軽減した。予後の数字ではなく、患者・家族の「本当に知りたいこと」を共に考える対話へと質的変化が見られた。
QOL向上への寄与: 病院提示の予後より長引く介護に困惑していた家族に対し、本ツールで現在地と見通しを共有。結果、前向きな生活再建に繋がった事例を確認した。
地域・多職種への波及: 居宅に置かれたツールが他職種の関心を呼び、地域のケアマネジャーを対象とした研修会には100名超が参加。看護師のみならず、多職種が共通してコミュニケーションの課題を抱えている実態が浮き彫りとなった。
【考察と結論】
IMADOKOは、①「今できていること」を肯定する視点の提供、②臨床経験に依存しない対話の標準化、③多職種間の共通言語化において有効である。本ツールは、患者・家族の予後認識のズレを埋め、最期まで希望する暮らしを支えるための強力な意思決定支援ツールとなり得る。今後は非がん疾患への活用拡大も含め、地域全体での共通認識形成に寄与したい。