講演情報

[OS12-1]おうち透析が拓く未来の腎代替療法 ― HHDとPDの統合的ビジョン ―

原 正樹1, 中釜 祥吾1, 河原崎 宏雄2 (1.東京透析フロンティア 池袋駅前クリニック, 2.帝京大学医学部附属溝口病院)
平成18年3月  獨協医科大学医学部卒業
平成23年4月  東京女子医科大学 第四内科学教室入局
平成24年4月  東京都立駒込病院 腎臓内科勤務
平成30年9月  東京透析フロンティア 池袋駅北口クリニック 院長
令和3年4月    医療法人社団 東京透析フロンティア 理事長
現在に至る
昨今、「おうち透析」という呼称にて、在宅透析を行うことの意義や重要性がクローズアップされている。本邦における腹膜透析(PD)患者数は約1万人(3%)を超える一方、在宅血液透析(HHD)患者数は約800人程度(0.2%)に過ぎず、在宅透析患者数(PD+HHD)は、米国の約14%(HHD 2%、PD 12%)、オーストラリアの約24%(HHD 7%、PD 17%)、香港の約71%(HHD 3%、PD 68%)と比較して、依然として低い水準にある。
本講演では、まずHHDを中心に、在宅透析がもたらす臨床的利点——体液管理、血圧・電解質コントロール、心血管イベント抑制、生命予後への影響など——を最新エビデンスと自施設データから概説する。また、PDとHHDの特徴を比較しつつ、患者のライフステージや臨床経過に応じたモダリティの選択・移行(PD→HHDなど)の実際を、具体的症例を交えて紹介する。従来、PDとHHDは「いずれかを選択する」関係として扱われてきたが、本講演では両者を相互に補完し合う統合型在宅透析モデル(Integrated Home Dialysis Model)として再構成し、その理念と臨床的意義を整理する。さらに、独居でのHHD施行を想定したSolo HHD、TCU(移行期ユニット)やCHH(地域型HHD)といった社会的基盤の整備と連携強化を今後の課題として展望し、PDとHHDを対立軸ではなく連続体として捉える視点から、統合型在宅透析モデルの実装に向けた方向性を示す。今後、在宅医療・訪問看護・腎臓専門医療が協働することで、「おうち透析」は本邦の腎代替療法において、より重要な位置づけを占めていくことが期待される。