講演情報

[P1-16]ACPの実践と介護施設での看取り

幸田 宏美 (丸玉木材株式会社 津別病院)
【はじめに】ACPの実践により介護施設を選択し最期を迎えた1事例を報告する。【症例】90歳代女性、閉塞性動脈硬化症があり足趾の創傷を繰り返していた。ACPは、「病気になったら治療する」であったが、5年間本人と話し合いを重ね「苦痛を和らげる処置と投薬」「可能な限り施設で過ごす」へ変化し、在宅療養支援を契約後に施設入所した。創傷の増悪と改善を繰り返し、寝たきり度A2からB2となる。入所から1年半後、39℃代の発熱と食欲不振あり。訪問診療時に右手の浮腫と脱力、不穏、褥瘡が発生した。遠方にいる家族へ連絡し、医師より状態が悪く長くない可能性があることを伝えられ、家族はできるだけ施設で過ごさせてあげたいと希望した。本人は、傾眠と混乱の中「みんなに良くしてもらっている」と話した。訪問診療から1週間後、オムツ交換をしても起きないと連絡あり。JCS200で緊急往診し、家族へ連絡と相談をした結果、施設で看取る事となった。翌日JCS20、発語が困難となり嚥下障害がみられた。家族が到着し本人に面会したが、家族間で点滴について意見が分かれた。本人の子は「楽そう」と話し、点滴をしない事で合意した。最期の日まで声掛けに開眼し、何かを伝えようとしていたが施設の職員に見守られ永眠された。ACPの最後に「死んでも会いに行っていい?ありがとうっていうだけ」と伝えていた。【考察】ACP実践のために、本人・家族と医療・ケアチームは、本人の意向や価値観を共有し理解した上で協働することが求められる。本人が人生の最終段階で望む医療やケアを受けられるよう話し合う必要がある。今回、ケアを通し本人と話していた5年分の思いを家族やケアするスタッフへ伝えることで施設看取りに繋がったと考える。ACP最後の言葉は、永眠時にケアしたスタッフへ伝えることで、本人の思想を更に共有し最後までケアを継続することができた症例であった。