講演情報

[P1-17]予後を認識している患者への意思決定支援
~ナラティブアプローチを実践して~

瀨口 里美, 海蔵 章代 (小林市立病院訪問看護ステーション)
【はじめに】予後告知を受けた患者は、その瞬間から近い未来に迫る死を意識せざるを得ない状況になる。終末期看護の役割は、患者に残された時間のQOLを高め、その人らしい生を全うできるように援助することである。A氏は、最期を覚悟し自分らしく生き抜く姿があった。A氏と関わる中で、タイミングを逃さず丁寧に対話を積み重ね、A氏の望む時まで多職種で在宅療養を支援することが出来たので報告する。【症例】A氏50歳代男性、関東在住、200X年関東のB病院で悪性軟部腫瘍と診断された。その後、再発や転移を繰り返し、集学的治療を8年間受けていた。200X+8年、BSC(Best supportive care)の目的で実家での療養を希望し、帰郷した。B病院の主治医からA氏へ、予後は3ヶ月程度であることが伝えられていた。C病院がかかりつけ医となり、当事業所が対応した。A氏は主治医からのインフォームドコンセントに加えてインターネットの情報などを調べ、自らで治療などの選択を行っていた。そして、体動困難時は入院させてもらいたい、と意思を表明していた。「死」に関する発言や感情の表出はなかったが、病状の進行に伴い起こり得る症状の出現や増悪に対して不安の表出があった。訪問看護利用から50日目、トイレで意識消失し、C病院へ救急搬送され入院後6日目に永眠した。【考察】看護実践として、解釈的ナラティブアプローチを意図したことで、良好な関係を構築することができ、A氏のその人となりや価値観を知ることができた。A氏の語りや意思の表明から、死を覚悟していたがその反面、病状の進行に伴う症状の出現や身体の衰弱を感受することに葛藤があったと思われる。また、タイムリーに多職種で意思の確認を行い続け、家族を含めて情報共有し、A氏らしく、A氏の望む時まで在宅療養を継続することが出来たと思われる。