講演情報

[SY01-4]診療所の現場から考える気候変動:熱中症対策、BCP啓発と地域連携を通じた持続可能な医療の実践

松田 諭 (ファミリークリニックさっぽろ山鼻)
日本プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医・指導医
日本在宅医学会認定 在宅医療専門医・指導医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
札幌医科大学医学部 臨床教授
札幌市立大学看護学部大学院看護学研究科在宅看護学領域非常勤講師
最近の記録的な暑さや毎年のように起こる豪雨災害は、在宅で過ごす患者さんやご家族の生活を脅かす、身近で切実な問題となっています。熱中症の増加や災害時の対応など、私たち在宅医療に携わる者が直面するリスクは年々大きくなっています。こうした中で、地球の環境と私たちの健康を一つのものとして考える「プラネタリーヘルス」という視点が、今とても大切になっています。

 本講演では、地域で活動する在宅支援診療所の立場から、この概念をどのように日々の活動に結びつけているかをお話しします。取り組みの柱の一つは、地域への熱中症対策の啓発です。医療現場だけでなく、地域の小学生のスポーツ少年団に関わる中で、指導者や保護者の皆さんに向けた情報発信も行っています。気候変動による暑さから子供たちの健康を守る活動は、まさにプラネタリーヘルスを地域で実践することに他なりません。

 また、BCP(業務継続計画)の啓発にも力を入れています。BCPと聞くと「義務化への対応」という堅苦しいイメージがあるかもしれませんが、これを「異常気象から地域を守るための備え」と捉え直すと、より前向きな準備になります。平時から地域で顔の見える関係を築き、いざという時の助け合いを考えておくことこそが、患者さんの安心を守る一番の力になると考えています。

 加えて、定期的な勉強会での紹介や、院内でのこまめな節電といった小さなエコ活動など、まずは自分たちにできることからスタートしています。こうした一歩一歩の積み重ねが、地域の持続可能性を支えることにつながります。

 本シンポジウムでは、熱中症対策やBCPを入り口にした地域とのつながり作り、そして明日から現場で意識できるちょっとした視点を紹介します。新しい視点を持つことが、目の前の患者さんや子供たち、そして地域の未来をどう守っていくのか、皆さんと一緒に考えていければ幸いです。