講演情報

[SY03-2]量的研究者が初めて挑んだ質的研究
―在宅医の処方行動を探るプロセスと論文執筆―

舛本 祥一1,2 (1.筑波大学医学医療系, 2.つくばセントラル病院)
2006年 大阪大学医学部医学科卒業
2006-2011年 国立国際医療センター初期研修医、腎臓内科後期研修医
2013年 長崎大学国際健康開発研究科卒業
2018年 筑波大学医学医療系人間総合科学研究科疾患制御医学専攻卒業
2018年~現在 筑波大学医学医療系地域総合診療医学講座 講師、つくばセントラル病院総合診療科
私はこれまで多剤内服(ポリファーマシー)の問題を研究テーマとして、主として量的研究に取り組んできた。在宅医療の現場では、高齢の多疾患併存患者が多いため、ポリファーマシーの頻度が高いとされているが、在宅医が実際にどのように処方薬を評価し、どのような思考過程を経て処方行動を選択しているのかについては、十分に明らかにされてこなかった。「在宅医はどのように処方薬を評価し,どのような処方行動をとるのか?」という問いに対しては、仮説検証型の量的手法だけでは捉えきれないと考え、初めて質的研究に挑戦した。本研究では、在宅医への半構造化インタビューを通じてデータを収集し、逐語録の精読とコーディング、概念化を反復することで、在宅医が処方薬を評価する際の視点や、処方行動に影響を与える要因を明らかにした。本講演では、量的研究者が質的研究に取り組む際に直面した戸惑いや工夫、研究デザインから分析、論文執筆に至るまでの具体的プロセスを紹介する。あわせて、在宅医療研究において質的研究が果たしうる役割や、量的研究と質的研究をどのように補完的に活用できるかについて考察し、今後在宅医療の研究に取り組む方への実践的示唆を提示したい。