講演情報

[SY04-4]在宅ドクターカーにおける運用標準化と救急連携の論点を整理する

宮本 雄気1,2,3 (1.順天堂大学 救急災害医学講座, 2.医療法人双樹会 よしき往診クリニック, 3.日本病院前救急診療医学会 理事)
2012年 京都府立医科大学医学部医学科 卒業
2014年 京都府立医科大学 救急医療学教室 医員
2017年 医療法人双樹会 よしき往診クリニック 医員
2025年 京都府立医科大学 救急医療学教室 助教
2026年 順天堂大学 救急災害医学講座 准教授
往診中に別の患者の緊急往診依頼が入る。がん患者の予期せぬ呼吸苦増悪。頭の中で瞬時にトリアージを行うと、今対応中の患者よりも緊急度が高い。1分1秒でも早く次の現場にたどり着きたい。あるいは、緩和ケア患者と今後のケアの意向についてじっくり対話している最中に、慢性心不全患者のSpO2低下で往診依頼が舞い込む。家族からは「40分かかるなら救急車を呼んでいいですか」と問われる。
在宅医療における移動時間は医療介入の空白を生む。苦痛の増悪や家族の不安は増大し、結果として不要な救急搬送や急性期医療機関への負荷にもつながり得る。「サイレンを鳴らして次の現場へ向かうことのできる車両があれば」在宅医療に携わる医師であれば、一度はそう考えたことがあるのではないだろうか。この課題に対する一つの解が「在宅ドクターカー」である。「ホスピスカー」とも呼ばれるこの車両は、在宅医療における緊急対応能力を飛躍的に高める可能性を秘めている。
しかしながら、在宅ドクターカーはいまだ未開拓の領域である。①車両規格、②同乗職種と役割分担、③運転者の要件・教育、④携行物品・薬剤フォーミュラリー、⑤緊急走行の適応・中止基準、⑥指令・連絡体制と消防・救急隊との連携、⑦記録・検証体制、⑧住民理解と広報、⑨費用・診療報酬・責任分担など、標準化すべき論点は多岐にわたる。加えて、既存の病院前救急体制とどのように融合しうるかという視点も重要である。
本発表では、これらの論点を整理し、安全かつ有用な在宅ドクターカーの普及に向けた議論の第一歩としたい。