講演情報
[SY08-1]遺族ケアの実践から考える「死で終わらない生」とACPの再解釈
細田 亮 (医療法人社団豊寿会 はもれびクリニック)
2008年4月 国立病院機構東京医療センター初期臨床研修医
2010年4月 国立病院機構東京医療センター血液内科
2015年4月 くぬぎ山ファミリークリニック院長
2021年11月 はもれびクリニック院長
2010年4月 国立病院機構東京医療センター血液内科
2015年4月 くぬぎ山ファミリークリニック院長
2021年11月 はもれびクリニック院長
在宅医療の現場において、私たちはこれまで、患者の死にゆく過程を支援することを主眼にし、結果として多くの看取りに関わってきた。その中で、患者が亡くなった後、家族がどのように生きていくのか、患者が家族の中でどのように語られ、位置づけられていくのかに関心を持つようになり、臨床の延長として遺族ケアに取り組んできた。 具体的には、遺族訪問に加え、年に1回の遺族会を継続的に開催している。遺族と当院スタッフが故人の思い出を語り合ったり、初めて顔を合わせる遺族同士が介護や看取りの体験を共有したりする場となっている。そのほか、生前の遺影撮影や、患者の歩みを振り返る人生史DVDの作成などにも取り組んできた。 また、地域におけるACP普及の取り組みとして、命や死生観をテーマに楽曲制作を行うミュージシャンを招き、市民ホールでコンサートと対談を行い、市民とファンが入り混じって死生観について考えるイベントも開催した。 これらの実践は、いずれも制度化された「医療行為」ではなく、在宅医療の枠を超えていると捉えられる側面もあるが、患者と家族に深く関わる中で、臨床家として気の赴くまま自然と生まれてきた取り組みであった。 これらの経験から、ACPは患者本人の意思決定にとどまらず、将来遺族となる人々の思いや、その後に続く悲嘆とレジリエンスを含むプロセスとして捉えられる必要があると感じている。患者は亡くなった後も、家族の語りや記憶、日々の選択の中で生き続けており、そこには「死で終わらない生」が確かに存在している。本シンポジウムでは、遺族ケアの実践を手がかりに、ACPの新たな捉え方について共有したい。
