講演情報

[SY10-2]嚥下機能評価を意思決定支援につなげる訪問看護師の役割

増田 翼1,2 (1.ウィル訪問看護ステーション江戸川, 2.衣笠あかり訪問歯科クリニック)
2018年:WyL株式会社ウィル訪問看護ステーション江戸川
2020年:摂食嚥下障害看護認定看護師 取得
2022年:WyL株式会社ウィル訪問看護ステーション小岩サテライト 所長
2025年:衣笠あかり訪問歯科クリニック 非常勤
2026年:ウィル訪問看護ステーション江戸川 エリアマネージャー
誤嚥性肺炎と診断された利用者は、絶飲食あるいは日本摂食嚥下リハビリテーション学会コード0–2程度で退院し、代替栄養の指導を目的として在宅で連日の支援を要するケースが少なくない。このような場合、退院前カンファレンスへの参加に加え、在宅移行前後にShared Decision Making in Dysphagia(SDMD)を実践することは、訪問看護師に求められる重要な役割である。
SDMDにおいては、誤嚥性肺炎の再発リスクや全身状態の変動を見据えた「予測」が意思決定の前提となる。その基盤として、在宅環境で可能な範囲での正確な嚥下機能評価が不可欠である。本報告では、訪問看護師が実施する嚥下スクリーニング、頸部聴診法、ポケットエコーを用いた嚥下エコーの活用について紹介する。異常所見を認めた場合には歯科医師へ嚥下内視鏡検査を依頼し、検査に同席したうえで、本人・家族と今後の食事方針を検討している。
誤嚥性肺炎を既往にもつ利用者では、嚥下機能のみならず全身状態が意思決定に大きく影響する。呼吸回数、咳嗽力、循環動態などの評価を通じて嚥下機能の変動を予測する中で、ポケットエコーは呼吸・循環評価の補助ツールとして有用であると感じている。
在宅療養では、嚥下機能の改善が期待できる例もあれば、改善が困難な例も多い。生活の質を重視し、リスクを認識したうえで経口摂取を継続するEating and Drinking with Acknowledged Risk(EDAR)を選択肢として提示する場面もある。本シンポジウムでは、訪問看護師が多職種連携のハブとして関与した事例を通じ、在宅における誤嚥性肺炎の「予測」と「許容」を評価から意思決定支援へどのようにつなげているのかを提示し、先生方と議論を深めたい。