講演情報
[SY10-3]重度嚥下障害・ADL全介助下で誤嚥性肺炎をいかに防ぎ得たか―感染症の三角形から紐解くリスクファクターを考えた患者・家族支援と多職種連携と在宅医の役割―
池邉 太一1,2 (1.医療法人社団悠翔会, 2.悠翔会在宅クリニック春日部)
2006年大分大学医学部卒業
2008年大分大学医学部総合内科学第2・腫瘍・血液内科学
2018年悠翔会在宅クリニック越谷
2020年悠翔会在宅クリニック春日部
2008年大分大学医学部総合内科学第2・腫瘍・血液内科学
2018年悠翔会在宅クリニック越谷
2020年悠翔会在宅クリニック春日部
【背景】 誤嚥性肺炎をはじめとした感染症診療には患者背景・病原体・抗菌薬の三角形を総合的に考えることが重要とされている。誤嚥性肺炎は特に患者背景として加齢や疾患による機能低下に加え、生活環境やケアの質が複雑に絡み合って発症する。本発表では、認知症進行期の約4年にわたり誤嚥性肺炎の発症を予防できた症例を通じ、在宅における誤嚥性肺炎診療を「感染症の三角形(ヒト・病原体・薬剤)」の視点から考察する。【症例】 80代女性、認知症進行、脳梗塞後遺症。重度嚥下障害のためX-7年にIVH管理を開始。一時は経口摂取のみで維持できるまで回復したが、X-4年の唾液誤嚥による窒息を機に再度IVH管理へ移行。ADL全介助で意思疎通は困難であり、誤嚥性肺炎のハイリスク群であったが、訪問歯科の指導のもと、主介護者が毎日の口腔ケア、舌マッサージ、吸綴反射への刺激を徹底して継続した。 膣炎・爪囲炎・ポート感染などの他の感染症への対応や、後鼻漏・唾液過多に対する対応・終末期の循環動態に合わせた補液量の減量(薬剤・環境介入)を実施し宿主の予備能(ヒト)の維持に努めた。結果、終末期に老衰の過程で肺炎を発症するまで、4年以上の間、誤嚥性肺炎による入院を回避し、X年に穏やかな在宅看取りに至った。【考察】 感染症の三角形の「病原体」を家族の口腔ケアで最小化し、「宿主」の機能を訪問歯科はじめ多職種が連携してアセスメント・改善を続け、何よりも日々の御家族のケアが誤嚥性肺炎を予防できた要因と考える。【結語】 誤嚥性肺炎は在宅で遭遇する頻度の高い感染症であり、高齢者の心身機能の低下を背景に発症する「全身病」として認識されている。しかしながら背景因子は多様であるため、ACPの一環として誤嚥性肺炎の三角形を動的に評価し、家族のケアを成果として承認し続けることで、平穏な療養生活を支援することが重要と考える。
