講演情報
[SY11-3]病院完結型医療から在宅ケアへ ― 超高齢・多死社会における看護師の役割と専門性
石垣 靖子 (北海道医療大学)
北海道医療大学名誉教授
北海道大学医学部附属看護学校教務主任、北海道大学附属病院副看護部長などを経て、1986年から医療法人東札幌病院看護部長・副院長、理事を歴任。
2004年から北海道医療大学大学院看護福祉学研究科教授、2016年より同大学名誉教授。
1992年にエイボン女性大賞を受賞。
北海道大学医学部附属看護学校教務主任、北海道大学附属病院副看護部長などを経て、1986年から医療法人東札幌病院看護部長・副院長、理事を歴任。
2004年から北海道医療大学大学院看護福祉学研究科教授、2016年より同大学名誉教授。
1992年にエイボン女性大賞を受賞。
戦後、国民皆保険制度の施行により医療は病院中心となり、出産や老い、病、死といった人生の営みは家族から専門家へ委ねられてきた。しかし現在、日本は超高齢・多死社会を迎え、病院完結型医療から地域や生活の場で支える医療への転換が不可避となっている。人々の価値観も変化し、住み慣れた自宅で最期まで暮らすことや生活の質を重視する選択が広がり、在宅ケア体制の充実が喫緊の課題となっている。ナイチンゲールは、病院は文明の過渡的段階にすぎず、究極の目標は病人を家庭で看護することであると述べ、施設内ケアの限界を指摘した。この思想は現代の在宅ケアシステムの原型ともいえる。今後需要が拡大する在宅ケアにおいて、看護師には高度なアセスメント力、的確な判断力、状態変化を予測する実践力が一層求められる。近年は慢性疾患管理、終末期ケア、認知症支援など専門分化も進んでいる。特に過疎地域では、訪問看護師が多職種連携を主導し地域医療を支える中核的存在となっている。さらにAIを活用しつつ、人にしかできない判断や関係性構築に基づく看護の専門性を再定義することが、在宅ケアの質向上に不可欠である。地域に寄り添い在宅ケアの充実に尽力する看護師の姿には、未来への希望と専門職としての誇りが示されている。
