講演情報

[SY13-3]看取りの場だけではない在宅医療~トランジット型とハイブリッド型~

長澤 恵理子, 梅沢 義貴, 小笠原 雅彦 (同善会同善病院)
・2018年3月 藤田医科大学卒業
・2020年4月 藤田医科大学総合診療科入局
・2024年4月 CCH総合診療入局(同善病院)
・2023年総合診療専門医、2025年在宅医療認定専門医取得
【背景】 外来診療から訪問診療への移行は看取りを目的とした一方通行の変化と捉えられがちであるが、実際には患者の病状・生活機能・介護力の変化に応じて在宅・外来・入院をフレキシブルに選択することが重要である。適切なタイミングで診療の場を切り替えることは、患者の生活を維持しつつ治療継続とケアの質の向上に寄与すると考えられる。
【目的】 患者の状態や取り巻く環境に応じて在宅・外来・入院と診療の場を変化させるだけでなく、一貫して質の高い医療やケアを提供するために訪問診療が担う役割を理解する。
【症例】
症例①:パーキンソン病で他院通院中の患者の皮疹治療に対して月2回の訪問診療が開始となった。皮疹は速やかに改善したが、糖尿病の悪化を認め薬剤治療強化と当院の栄養士による食事指導を開始した。経過が安定したため月1回の訪問診療へ切り替えた。
症例②:脱水で救急外来へ受診し帰宅となった患者へスポット往診を行いその後訪問診療へ移行することとなった。その後心不全増悪で他院へ入院後、当院へリハビリ転院し、自宅退院後は訪問診療を再開した。訪問リハビリを新たに開始しADLは改善した。
症例③:失神を繰り返す独居高齢患者に対して他院から訪問診療の導入依頼があり、月1回の外来通院を継続しながら月1回の訪問診療で併診とした。前立腺膿瘍のため長期入院となった際にADLが低下し、訪問診療の増回と訪問看護・訪問介護を開始した。その後施設へ入所となったが、医療・介護サービスは継続となった。
【考察】 訪問診療は「看取りの診療」というイメージがあるが、患者がその人らしい生活を維持しつつ、提供される医療や介護の質を落とさないために、「一時的に」介入して全身状態を安定化させて外来診療へ戻したり、逆に自宅療養が困難なケースでは入院を依頼したりと、「適切なタイミングで診療を切り替える場」として担う役割も大きいと考える。