講演情報

[SY14-1]在宅医療におけるタスクシフト・シェア 総論

弓野 大 (医療法人社団ゆみの)
1998年順天堂大学医学部卒業。東京女子医科大学病院循環器内科、カナダ・トロント大学留学を経て、2012年ゆみのハートクリニックを開設。2014年より医療法人社団ゆみの理事長。現在、東京・大阪・福岡・愛媛に外来および在宅診療拠点を展開し、重症心不全を含む循環器疾患の在宅医療体制の構築に取り組んでいる。

日本在宅医療連合学会評議員、東京都医師会在宅医療委員会委員、日本循環器協会理事。日本心不全学会、日本循環器学会などのガイドライン策定に参画し、「重症心不全患者への在宅静注強心薬持続投与指針」作成ワーキンググループ長を務めた。

全国の循環器クリニックをつなぐJapan Cardiology Clinic Network(JCCN)事務局として地域循環器医療の連携強化にも取り組む。
日本の医療はこれまで医師の長時間労働に支えられてきましたが、医師不足の顕在化や働き方改革の進展、患者ニーズの多様化、救急・先進医療の高度化を背景に、その持続可能性が強く問われています。とりわけ都市部では高齢化の進行に伴い在宅医療の需要が急増しており、限られた人的資源の中で質を維持しながら量にも応えていく体制づくりが求められています。在宅医療においても、24時間365日対応、広域移動、外来との両立、多職種連携など医師の負担は大きいのが現状です。一方で、地域で医療を担う機会が増える中、訪問看護師や診療看護師、セラピスト、臨床検査技師、薬剤師など多職種の専門性はますます重要になっています。
タスクシフトは医師の業務を他職種へ移管すること、タスクシェアは医師と他職種が役割を分かち合い協働することを指し、両者は概念的に異なりますが、いずれも医師の負担軽減と医療の質・効率性の向上を目指す取り組みです。単なる業務移譲にとどまらず、それぞれの専門性と強みを生かしたチーム医療として再構築していく視点が重要だと考えます。
本講演では、疾患の自然経過を踏まえた「導入・管理・増悪・終末期」の各フェーズに応じた役割分担の考え方を整理し、医療DXを活用して距離や時間の制約を補完する実践のあり方をご紹介します。タスクシフトとタスクシェアをどのように組み合わせれば、在宅医療の質と持続性を高めていけるのか、皆さまと共に考える機会にできればと思います。