講演情報
[SY17-2]在宅医療における医療安全と患者安全-外来診療と比較した視点から-
吉田 裕一 (栄町ファミリークリニック)
2021年 獨協医科大学病院総合診療科入局
2022年 寿都町立寿都診療所 常勤医
2024年 向陽台ファミリークリニック 常勤医
2025年 北海道家庭医療学センターフェローシップコース
栄町ファミリークリニック 副院長
2022年 寿都町立寿都診療所 常勤医
2024年 向陽台ファミリークリニック 常勤医
2025年 北海道家庭医療学センターフェローシップコース
栄町ファミリークリニック 副院長
病院や診療所における医療安全、病院組織における医療安全および患者安全の活動は、日本医療機能評価機構による評価体系などを通じて確立されつつある。一方で、外来診療と在宅医療の双方を実践する立場から現場を俯瞰すると、両者の安全管理に関する取り組みには本質的な構造の違いが存在する。外来診療は医療者が管理する制御された環境下で行われ、専門職による観察に基づいた標準的なインシデント報告体制が機能しやすい。しかし、在宅医療は「生活の場」が舞台であり、そこでは医療従事者間のみならず、介護や福祉を含めた多職種連携が不可欠となる。また、医療的ケアの主たる担い手が患者本人や家族であるといった特性を持つ。そのため、ヒヤリハット報告の収集や分析手法一つをとっても、外来診療でのモデルをそのまま適応させることには限界があり、在宅独自の安全管理のあり方を確立することが望まれる。諸外国、特に米国では、在宅ケアやプライマリケアにおける患者安全の研究や実践報告が着実に蓄積されつつある。一歩でわが国の在宅医療は、訪問診療の普及度において世界をリードしているものの、本学会等での安全に関する演題はペイシェントハラスメント等の周辺課題に留まる傾向があり、医療安全の本質的な議論や研究は未だ十分とは言えない。本シンポジウムでは、外来診療と在宅医療の現場レベルでの比較を通じ、病院・外来を中心に展開されてきた知見をいかに在宅の文脈へ再構成すべきかを検討する。生活の質(QOL)と安全性をいかに両立させ、家族を含めたチーム全体で患者の安全を支えていくべきか。これからの在宅医療における安全文化の醸成や、今後の研究および活動の方向性について多角的に議論したい。
