講演情報

[SY17-4]小児在宅医療/医療的ケア児支援における医療安全と患者安全

土畠 智幸 (医療法人稲生会 生涯医療クリニックさっぽろ)
2003年 北海道大学医学部卒、手稲渓仁会病院小児科入職
2006年 人工呼吸器を必要とする小児の訪問診療を開始
2013年 医療法人稲生会 生涯医療クリニックさっぽろ(在宅療養支援診療所) 開設
2022年 北海道医療的ケア児等支援センター長
2014年度~ 日本医療機能評価機構のサーベイヤーとして全国の小児病院等の機能評価を担当
在宅療養支援診療所である当院では、2015年度よりヒヤリハット報告を開始した。2022年9月~2025年3月の43か月間で1,030件の報告があったが、医療に関する事象は約2割で、残りの約8割は事務関係、忘れ物、スケジュール関係などであった。発生場所は事務所が45%、訪問先(患家)が41%、移動中が8%であった。これらは、当法人職員が報告した事象であり、患家で生じる事象はその何倍もあると考えられる。また、医療的ケア児支援という枠組みで考えれば、居宅では訪問看護や居宅介護、通所では放課後等デイサービス、保育所や学校など、様々な職種が関わる中でのヒヤリハット事象が数多く発生しているものと考えられる。
 2024年度からは、札幌市の小中学校で医療的ケア児の支援を行う看護師を対象としたヒヤリハット報告を開始した。2024年4月~2025年12月の21か月間で135件の報告があったが、そのうち55%が看護師と学校との連携・連絡の課題に関連したもので、医療的ケアに関連したものは25%であった。ヒヤリハットへの対策については、単に安全対策ということだけでなく、児童生徒の自立という観点も含めて検討する必要がある。
 在宅医療においては、医療者がいない場所で医療が行われるという特徴がある。医療的ケア児支援においては、保育所や学校といった医療介護福祉機関以外の場所で医療が行われるということと、安全の確保と子どもの自立の間にジレンマが生じることがある。小児在宅医療/医療的ケア児支援における「安全」を考えるうえでは、医療者のみならず、患者・家族、他の分野の専門職と協働して検討していく必要がある。