講演情報

[SY18-1]諸外国のHospital at homeと日本の目指すところ

宮本 雄気1,2 (1.順天堂大学 救急災害医学講座, 2.医療法人双樹会 よしき往診クリニック)
2012年 京都府立医科大学医学部医学科 卒業
2014年 京都府立医科大学 救急医療学教室 医員
2017年 医療法人双樹会 よしき往診クリニック 医員
2025年 京都府立医科大学 救急医療学教室 助教
2026年 順天堂大学 救急災害医学講座 准教授
諸外国では在宅で急性期入院相当の診療を行うHospital at home(HaH)が、病床逼迫や高齢化を背景に拡大してきた。例えば米国ではCOVID-19を契機に、CMSによるHaHプログラムが2030年まで延長され、入院要件を満たす患者を自宅で治療することに対する保険償還が行われている。これは遠隔モニタリングと訪問を前提に、予期せぬ死亡やエスカレーション率などの質指標報告・安全委員会などを課すことで質の担保を行いながらHaHのスケールアップを図る枠組みである。
日本の在宅医療は、home-based primary careとhome-based palliative careを中心に発展してきたが、患者ニーズに応じて、ときにHaHを提供してきた。COVID-19の流行を契機に在宅酸素や遠隔モニタリング等の実践が広がった一方、診療報酬、状態悪化時の搬送(エスカレーション)、データ連携基盤などが障壁となり、スケールアップには至らなかった。 このような状況下で、診療報酬を算定・導入するには、安全性担保(予期せぬ急変・死亡やエスカレーション率)と濫用予防(適応、患者選定、監査)が重要な課題となる。加えて、どのような診療報酬体系を設計するかも重要である。HaHを要素分解すると、①急性期の在宅酸素療法 ②連日の点滴(OPATも視野に入れた抗菌薬投与など)③対面あるいは遠隔でのモニタリング④その他(リハビリテーション、意思決定支援、ソーシャルワーク)に分かれる。本邦のHaHの診療報酬に関する選択肢は、(a)既存の枠組みで限定的に継続(b)HaH全体として包括算定(c)要素別算定であり、いずれも一長一短で熟慮を要する。
限られた社会保障資源の中で、HaHを実践していくには、最適な選択肢を学術団体でも議論し、日本版HaHの目指す姿を示す必要がある。