講演情報

[WS05-3]在宅透析の見えないリスクを見える化する ~在宅透析を支えるデータと臨床工学技士 ~

森谷 志乃 (医)社団 清永会 矢吹病院)
2001年3月青森県立八戸北高校 理数科卒業
2004年3月東北文化学園専門学校 臨床工学科卒業
2004年4月矢吹病院 臨床工学部入職
2018年8月矢吹病院 臨床工学部 チーフ職着任
2022年12月矢吹病院 臨床工学部マネージャー職着任
在宅医療の推進により、患者が自宅で行う在宅透析(在宅血液透析と腹膜透析を指す)は生活の質の向上に大きく寄与している。一方、施設透析と同様の医療機器を自宅で使用する在宅血液透析は、医療者から見えにくい多様なリスクが存在する。透析実施記録は外来受診時にしか確認できず、日常の治療状況、警報やトラブルがブラックボックス化しやすい。患者が実際の透析状況と異なる申告を行ったとしても異常に気づけない点が問題である。矢吹病院では、これらに対し透析情報共有システムやビデオ電話を導入し、遠隔から治療状況を把握できる取り組みを行っている。ビデオ電話は、患者が日常的に使用するツールであり操作習得の負担が少なく、受け入れが良好であった。カメラを通じ患者と医療者が同じ画面で現状を共有することで患者の安心感向上にも繋がった。一方、透析情報共有システムは取得データの解析に情報量の多さから運用上の困難を経験した。そこで我々は取得データを活用するExcelを用いた独自の解析ツールを作成し運用を行った。これにより透析回数、除水量、除水速度の変動、透析条件逸脱などのリスク兆候を把握し、外来受診前の介入や指導に繋げることができた。また、腹膜透析ではホームPDシステムの患者データ解析業務を臨床工学部が担っている。データ解析当初は、データの未入力などにより正確な解析の困難事例や膨大なデータを標準化した解析をする難しさを経験した。そこで、在宅血液透析同様にExcelを用いた解析ツールを作成した。データ欠損には課題が残るものの、警報履歴解析などにより外来受診前の情報共有が可能となり効率的な患者介入に繋がった。本ワークショップでは、見えない透析を見える化する工夫や経験を交え、トラブル対応や課題を共有し、患者、医療者、メーカーと連携しながら臨床工学技士が果たす役割を報告する。