講演情報
[T1-02]鉱物資源確保に関する日本の最近の取り組み「招待講演」
*米村 和紘1 (1. (独)エネルギー・金属鉱物資源機構)
キーワード:
重要鉱物、鉱物資源確保
世界的なグリーントランスフォーメーション(GX)の進展により, バッテリーや半導体等向けの重要鉱物確保競争が激化している. とりわけ, 電気自動車向けに用いられるリチウム, ニッケル, グラファイトについては, 既存の資源会社だけではなく, 各国自動車メーカーやバッテリーメーカーがその権利確保を加速させている. また, これらの鉱種の供給地及び製錬等中流工程が偏在していることなどにより, 経済安全保障上のリスクが懸念されるケースもある.
このような状況の下, 世界的に供給源や中流工程の多角化への各国政府からの資金的支援や制度設計などの取り組みが進む. また, 環境や人権等への配慮を高めることにより, 持続可能な資源開発を推進する動きも高まっている. 日本では, 「蓄電池産業戦略」や経済安全保障推進法に基づく「重要鉱物に係る安定供給確保を図るための取組方針」などに基づいて, 日本企業による国内外での鉱山開発, 技術開発, 製錬などの中流工程の強化への支援, 具体的には, JOGMECによる探鉱・開発事業への共同出資比率の引き上げや助成金による開発等の支援を行っている. 中流工程の支援強化については, 資源国での高付加価値化政策やアジア各国での新たな産業創出にもつながると期待される.
制度設計による日本企業支援に加え, 資源国との資源外交やマルチ枠組みへの対応も積極的に実施している. 各国の地質調査機関等との協力覚書の締結等を通じて, 具体的には資源国政府の要人を招聘した日本企業向けセミナーやリモートセンシング技術の技術移転, 人材育成等を進めている. アジアにおいては, ASEAN+日中韓の枠組みにて, 持続可能な鉱物資源開発のための協力を進めている他, 共同探査等を実施し新たな鉱物資源の可能性を共同で評価している.
供給源の多様化の課題は, 既存資源が枯渇する中で有望なプロジェクトに投資が集中していることである. その一方で, これまで資源としてみなされていなかった鉱石鉱物が新たな鉱源として着目され, 新たに探査が拡大している場合もある. また, 地質学的理解が深まり特定のテクトニクスセッティングが明らかになることで, 新たな鉱床帯として認識される場合もある. 新たな鉱石タイプとしては, 近年探査が開始されたニッケル資源であるアワルワ鉱が好例である. アワルワ鉱は, ニッケル-鉄合金(Ni3Fe)で, 低品位ながら大規模に蛇紋岩化した超苦鉄岩中に含まれる. 温暖化対策として, 低CO2排出のニッケル生産が求められる中, 既存の製錬に比べ低CO2排出での生産が可能であることから, 日本のバッテリーメーカーや鉱山会社も注目する. アワルワ鉱は, 沈み込み帯内の低酸素フガシティ, 低硫黄環境で形成されると考えられ (e.g. Frost, 1985; Britten, 2017), 主な産地であるカナダBC州にて研究・探査が進んでいるが, 詳細な地質セッティングについてはまだ解明されていない部分が多く, 鉱物学的, 岩石学的な理解が進むことで効率的な探査が可能になる. 小大陸が離合集散して形成されたアジア大陸には, 様々なテクトニクスセッティングが内包されているが, 詳細な地質調査が行われていないエリアも多く残ることから, アワルワ鉱に限らず、未開発の新たな資源が今後も多く発見されていくと期待される.
このような状況の下, 世界的に供給源や中流工程の多角化への各国政府からの資金的支援や制度設計などの取り組みが進む. また, 環境や人権等への配慮を高めることにより, 持続可能な資源開発を推進する動きも高まっている. 日本では, 「蓄電池産業戦略」や経済安全保障推進法に基づく「重要鉱物に係る安定供給確保を図るための取組方針」などに基づいて, 日本企業による国内外での鉱山開発, 技術開発, 製錬などの中流工程の強化への支援, 具体的には, JOGMECによる探鉱・開発事業への共同出資比率の引き上げや助成金による開発等の支援を行っている. 中流工程の支援強化については, 資源国での高付加価値化政策やアジア各国での新たな産業創出にもつながると期待される.
制度設計による日本企業支援に加え, 資源国との資源外交やマルチ枠組みへの対応も積極的に実施している. 各国の地質調査機関等との協力覚書の締結等を通じて, 具体的には資源国政府の要人を招聘した日本企業向けセミナーやリモートセンシング技術の技術移転, 人材育成等を進めている. アジアにおいては, ASEAN+日中韓の枠組みにて, 持続可能な鉱物資源開発のための協力を進めている他, 共同探査等を実施し新たな鉱物資源の可能性を共同で評価している.
供給源の多様化の課題は, 既存資源が枯渇する中で有望なプロジェクトに投資が集中していることである. その一方で, これまで資源としてみなされていなかった鉱石鉱物が新たな鉱源として着目され, 新たに探査が拡大している場合もある. また, 地質学的理解が深まり特定のテクトニクスセッティングが明らかになることで, 新たな鉱床帯として認識される場合もある. 新たな鉱石タイプとしては, 近年探査が開始されたニッケル資源であるアワルワ鉱が好例である. アワルワ鉱は, ニッケル-鉄合金(Ni3Fe)で, 低品位ながら大規模に蛇紋岩化した超苦鉄岩中に含まれる. 温暖化対策として, 低CO2排出のニッケル生産が求められる中, 既存の製錬に比べ低CO2排出での生産が可能であることから, 日本のバッテリーメーカーや鉱山会社も注目する. アワルワ鉱は, 沈み込み帯内の低酸素フガシティ, 低硫黄環境で形成されると考えられ (e.g. Frost, 1985; Britten, 2017), 主な産地であるカナダBC州にて研究・探査が進んでいるが, 詳細な地質セッティングについてはまだ解明されていない部分が多く, 鉱物学的, 岩石学的な理解が進むことで効率的な探査が可能になる. 小大陸が離合集散して形成されたアジア大陸には, 様々なテクトニクスセッティングが内包されているが, 詳細な地質調査が行われていないエリアも多く残ることから, アワルワ鉱に限らず、未開発の新たな資源が今後も多く発見されていくと期待される.