日本認知科学会第43回大会

オーガナイズドセッション一覧

OS1:イベントとはなにか:記述・分節・概念からみえてくるもの
OS2:創造的知能の探究~用語と分野を超えた対話
OS3:場のデザインが支える創造性
OS4:ポスト学習時代の認知科学:汎化可能な学びの展開
OS5:日常と社会につながるプロジェクション
OS6:ゆりかごから墓場まで: ひとの生涯に寄りそうAIパートナーのSFプロトタイピングと認知科学的展開
OS7:研究活動における生成AIとの協同とその可能性
OS8:セレンディピティの認知科学:偶然性は科学の対象となりうるか?
OS9:ハイパースキャニングは社会的相互作用をどこまで理解できるのか? ― リアルタイム相互作用をめぐる認知科学的整理と展望 ―
OS10:LLMを超える物語生成の構造的・認知的制御 ―それぞれの頭の中の物語と物語論的法則性―
OS11:現場から立ち上がる協働的な芸術創造のダイナミクス
OS12:内省の認知動力学:創造性/精神病理/プロジェクションの計算論的理解に向けて
OS13:夜明け前の認知:違和感ともどかしさの探究 Part-2
OS14:研究をプレイする:新しい研究のかたちへ
OS15:創造性あるいは創造的活動と脳のデフォルトモードネットワークについて考える
OS16:ローカルエコーチェンバーのステアリング:認知科学的介入の成果と展望
OS17:A Gateway to Global Cognitive Science: International Organized Session at JCSS 2026 (世界につながる認知科学への入口:JCSS英語オープンセッション)
OS18:モデルの違いを乗り越える:立場の異なる人と協働するために

(本OS番号は現段階の仮のものであり、プログラム決定後に正式なOS番号が振られます)


OS1

タイトル:イベントとはなにか:記述・分節・概念からみえてくるもの

オーガナイザー:佐藤由紀(玉川大学),青山慶(岩手大学)

概要:
 私たちは日々の世界を連続的な変化として経験しながら、それを「イベント(できごと)」として切り分け、理解し、想起し、語り、他者と共有している。しかし、何を「できごと」と名指すのかは自明ではない。できごとの始まりと終わりはどのように決まるのか、できごとは知覚・行為・言語・制度のどのレベルの単位なのか、そしてその単位は誰にとって、どのような実践の中で遂行され存在するのか。
 認知科学では「イベント」は頻出概念である一方、分野ごとに暗黙の定義が異なり、議論がすれ違いやすい。OSとして「概念の交通整理」を行うことの意義は大きいといえる。また、生態心理学、相互行為分析、哲学的検討を同じOSに置くことで、イベントを「切り分けの結果」ではなく「成立の過程」として扱い、且つ日常の具体的達成行為を含めることで、抽象概念に留まらないかたちで「できごと」が現れる場面を提示する。これにより、できごとを「心内表象」や「記述の便宜」に閉じず、環境-身体の連関として再定義するためのOSとすることを目指す。

公募予定の発表者の人数:0名


OS2

タイトル:創造的知能の探究~用語と分野を超えた対話

オーガナイザー:服部エリーン彩矢(慶應義塾大学),山田和佳(東京大学),谷山建作(東京大学)

概要:
 創造性は、人の高度で複雑な知能であり、認知科学における中核的なテーマの1つである。これまで創造性研究は、主として心理学的アプローチによって進められてきた。質問紙調査や実験室実験を通じて個人の認知プロセスを測定し、創造性のメカニズムを明らかにしようとする取り組みは、重要な知見を数多くもたらしてきた。
 生成AIが台頭してきた現代において、より根本的に、人が新しいものを生み出す知能の本質を理解するためには、多面的な研究アプローチが必要ではないだろうか。実際、人の創造的な知能の本質に迫ろうとする研究は、心理学以外の分野でも多く行われている。例えば、工学におけるデザインの研究、複雑系や人工知能における創発の研究などである。これらの研究は、用いられる用語や概念こそ異なるものの、人の新しいものを生み出す知能を明らかにしようとする取り組みという視点では、共有できることがあるはずである。
 しかしながら、同じ本質的な問いに迫ろうとしている異なる分野間での知見の融合は十分に行われていない現状がある。「創造性」という特定の用語や、心理学という特定の枠組みに縛られることで、かえって本質的な理解が妨げられている可能性すらある。
 そこで本OSでは、心理学という枠組みや創造性という用語を一旦脇に置き、異なる切り口から人の創造的知能のメカニズムに迫る専門家を招待し、それぞれの専門分野から創造的知能がどのように捉えられるのかを概観していただく。最後に、発表者間や聴講者を含めた会場全体での議論を通じて、分野を超えた対話の場とする。

公募予定の発表者の人数:0名


OS3

タイトル:場のデザインが支える創造性

オーガナイザー:荷方邦夫(金沢美術工芸大学)、田中吉史(金沢工業大学)、青山征彦(成城大学)、猪股健太郎(熊本学園大学)、竹内一真(多摩大学)、横山拓(NTTデータユニバーシティ)

概要:
 「デザイン・構成・創造」研究分科会(DCC)はこれまでも、人間が思考し知識やイメージを構成したその成果について、あるときはデザインと呼び、あるときは創造と呼んできた。デザイン研究、創造性研究はヒトの多様多彩な認知活動によってもたらされる。幸いなことにいずれも新しいトピックが次々と生まれ、研究の拡大と進展は変わらず続いている。
 今回のOSでは、「場」を巡る研究をフォーカスする。デザイン研究・創造性研究について、その認知的プロセスが個人の内的なものとしてではなく、ヒト・モノ・技術・環境が相互に関与しながら進むプロセスとして考える。こうした外的なリソースによって構成される場の働きは、特に個人の認知活動を支えるものとして重要である。「場」の働きについて考えることは今後の研究を考える上で大いなる示唆を含むと思われる。
 われわれを取り巻く「場」は、物理的な外的環境をさすだけでなく、コミュニケーション、制度や歴史といった幅広い要素を含む。デザインや創造性を考える時、これらの「場」と人とのインタラクションを改めて問い直し、議論することは有意義であると考える。文字や道具、紙、コンピュータ、インターネット、生成AIに至るまで、技術の進化は常に人間の思考や表現、協働のあり方を変化させてきた。しかし、それらは単に創造性を高めてきたのではなく、これらの活動の担い手や評価基準、可視化される実践のかたちを組み替えてきたと考えられる。本OSでは、様々な研究を通して、デザインや創造性をドライブするものがどこに「ある」のか、またそれがどのように配置され、時に増幅され、時に抑制されてきたのかを検討する。

公募予定の発表者の人数:3名


OS4

タイトル:ポスト学習時代の認知科学:汎化可能な学びの展開

オーガナイザー:日髙昇平(北陸先端科学技術大学院大学),小森政嗣(大阪電気通信大学),清水裕士(関西学院大学),高橋康介(立命館大学),布山美慕(立命館大学)

概要:
 学習は、心理学、神経科学、認知科学の基礎的な研究対象の一つであった。しかし、昨今の機械学習の技術的な発展や社会での応用に見て取れるように、すでに学術的な基礎研究の手を離れ、産業界での研究開発のフェーズへと移りつつある。学習に関する基礎研究の必要性はこれからもなくならないと考えられる。しかし、基礎研究の軸足は、学習だけでは説明が困難な認知過程へと移ると予想される。本企画では、そのような過渡期にあたる現在を「ポスト学習時代」と呼び、学習のみではまだ実現や説明ができない“次に解明すべき認知過程”に向けた方向性を模索すべき状況だと捉える。そのような認知過程に関連するキーワードとして、理解、洞察、創造性、多義性、発達、推論、意図、意識、統合性、全体性など(これらに限定しない)が挙げられるだろう。
 昨年のJCSS2025でのOSに引き続き、本OSでは、“学習の次”に研究すべきと考えられる認知過程に焦点を当て、次世代の認知科学研究の方向性を考える内容とする。今年は特に学びの一般化、転移、あるいは発達に焦点を当てる。この分野において長年研究されてきた研究者をお招きし、それらの研究を踏まえて、今後の認知科学研究の方向性を議論する。

公募予定の発表者の人数:0名


OS5

タイトル:日常と社会につながるプロジェクション

オーガナイザー:久保南海子(愛知淑徳大学),岡田浩之(東京情報デザイン専門職大学),川合伸幸(名古屋大学)

概要:
 プロジェクションの提唱者であり研究を牽引してきた鈴木宏昭氏が逝去後も、プロジェクションに関するオーガナイズド・セッションに多くの参加者が集まっていたことから、本学会におけるプロジェクションへの関心は高いといえる。この研究領域を広く普及させ認知科学の一分野として発展させていくためには、これまでプロジェクションとは直接関わりのなかった研究者がおこなってきた研究に対して、プロジェクションがどのように展開できるかを議論・検討することが重要であると考える。そこでプロジェクション研究の第二段階として、これまでプロジェクションという概念とは無関係に行われてきたさまざまな研究について、プロジェクションを接続することでプロジェクション・サイエンスの新たな展開をはかる。プロジェクション研究の派生や共有は、認知科学のさらなる活性化にもつながると考える。

公募予定の発表者の人数:0名


OS6

タイトル:ゆりかごから墓場まで:ひとの生涯に寄りそうAIパートナーのSFプロトタイピングと認知科学的展開

オーガナイザー:河野太郎(トヨタ自動車),高橋英之(追手門学院大学)

概要:
 生成AIとロボティクスの急速な進展により、ひとの生涯に寄りそうAIロボットパートナーを実現できる可能性が現実味を帯びてきた。しかし、そのようなパートナーの存在が本当に我々人類にとって善き社会の実現につながるかは未知数であり、また、単に学術的知見やプロダクトを列挙するだけでは我が事として多くの人たちが未来のイメージを共有しながら実質的な議論を行うことが難しい。
 そこで本OSでは、SFプロトタイピングの手法を援用し、AIパートナーの社会実装がもたらす未来像について多角的な議論を行いたい。具体的には、単なる「役に立つ」道具観を超えた「ひととAIロボットが相互に受容し合い共に成長する関係性」について、講演者らが今回のOSに向けて作成したAIパートナーと人類が共生する未来のユートピア/ディストピア物語(小説やイラストで表現)を参加者全員に提示した上で、AIパートナーの社会実装が実社会にもたらす影響をポジティブ/ネガティブな両面から多様な認知科学の視点から議論する。そして、そのような議論を通じて、「買い手よし、売り手よし、世間よし」な三方よしでウェルビーイングな未来社会ビジョンの構築を目指すことを趣旨とする。

公募予定の発表者の人数:0名


OS7

タイトル:研究活動における生成AIとの協同とその可能性

オーガナイザー:黒田航(杏林大学),阿部慶賀(和光大学)

概要:
 本OSでは、研究活動における生成AIの利活用とその是非ついて議論することを目的とする。昨年の第42回大会では、小説家の葦沢かもめ氏をゲストに迎えた生成AIとの協創をテーマにしたOSが行われ、生成AIの有効活用の可能性が議論された。本OSでは、これに対して研究活動の中での生成AI導入の是非を批判的に検討する場を設けることを主たる狙いとしている。昨今では、生成AIの権利問題や倫理的側面についてもすでに厳しい批判が挙がっている。本OSでは、認知科学、情報科学から話題提供を行い、法律家の視点も交えて研究の中で生成AIを用いることの是非や可能性、限界を探る。その一方で、権利問題、倫理問題をクリアしつつ建設的な利活用ができる可能性についても前向きに検討していく。特に研究活動のどのフェーズにおいてどのように生成AIを活用できるのか、あるいはできないのかを参加者間で理解を深め、共有していくことを目的としている。

公募予定の発表者の人数:0名


OS8

タイトル:セレンディピティの認知科学:偶然性は科学の対象となりうるか?

オーガナイザー:二宮由樹(名古屋大学),三輪和久(名古屋大学),光田英司(トヨタ自動車株式会社)

概要:
 本OSは「偶然性は科学の対象となりうるのか」という根本的な問いを共有し、セレンディピティを認知科学の研究対象として扱うために必要な論点や視座を整理する場を提供する。
 セレンディピティはこれまで、「偶然の価値ある発見」や「予期せぬ成果」として主に結果の側面から扱われてきた。こうした理解においては、セレンディピティは基本的に外部から偶発的にもたらされる出来事であり、その発生自体は人間の意図や制御の及ばないものとして捉えられ、面接や観察を中心とした事例ベースのアプローチが取られてきた。
 このような背景には、セレンディピティの中核をなす「偶然性」という性質がある。偶然性は再現性や予測可能性に乏しく、実験的統制が困難であると考えられてきたため、科学的分析の対象としては扱いにくいものとみなされがちであった。その結果、認知科学においても、偶然性はしばしばノイズや外生変数として位置づけられ、人間の認知・行動の分析から切り離される傾向があった。
 しかし近年では、セレンディピティが単に「起こる出来事」ではなく、人が環境との相互作用の中でどのように偶然性に気づき、それを意味づけ、価値あるものとして取り込むかという一連の認知・行為のプロセスによって成立する現象であることを示しつつある。さらに、人は状況や目標に応じて、偶然性を積極的に求めたり、逆に回避するために環境に対して能動的に働きかけることが示されている。
 本OSの目的は、こうした視点に基づき、偶然性を人間のコントロール外にある外生的要因として扱う従来の見方を再考し、偶然性を科学の対象とするための視座や論点を整理することである。これにより、セレンディピティの科学を事例の記述から環境との相互作用を含む認知過程の記述へ移行させ、認知科学の1領域として再定義することを目指す。
 具体的には、以下のような議論を期待する。

・偶然性は認知科学の対象たり得るか?偶然性を科学する方法論
・注意、学習、問題解決、意思決定、創造性などの認知科学の諸領域における偶然性
・偶然の出会いを引き寄せる人と環境の相互作用
・セレンディピティの認知科学が持つ応用可能性

 具体的には、初めに、企画者である二宮から、企画趣旨の説明と、偶然性を科学の射程に捉えるための視座の1つとして、偶然性に対する人の能動的戦略としての偶然性希求の考え方を提供し、セレンディピティを認知科学の研究対象として検討するための契機とする。招待講演として、推論、問題解決研究の立場から服部雅史先生、芸術や科学的発見研究の立場から岡田猛先生を招待し、それぞれの専門的立場から本テーマに関する知見を提供していただく。結びとして、共同企画者であるトヨタ自動車株式会社の光田英司氏から産業界から見たセレンディピティの認知科学の価値を示すことで、セレンディピティの認知科学の発展可能性を学術・産業の両側面から議論する。

公募予定の発表者の人数:0名


OS9

タイトル:ハイパースキャニングは社会的相互作用をどこまで理解できるのか? ― リアルタイム相互作用をめぐる認知科学的整理と展望 ―

オーガナイザー:川崎真弘(筑波大学),小池耕彦(理化学研究所),田邊宏樹(名古屋大学)

概要:
 近年、ハイパースキャニングは、複数個体の同時計測を通じて社会的相互作用を捉える手法として、神経科学・心理学・工学などの分野で急速に普及している。一方で、ハイパースキャニングによって「何が新たにわかるのか」「相互作用をどのような理論的枠組みで理解すべきか」といった根本的な問いについては、分野横断的な整理や議論が十分になされているとは言い難い。
 本オーガナイズドセッションでは、ハイパースキャニングを単なる計測技術として紹介するのではなく、相互作用をリアルタイムに生成・変化する認知過程として捉え、どのように理解・モデル化しうるのかを、認知科学的観点から議論することを目的とする。実験室研究、実社会の相互作用研究、人–機械・人工システム研究を理論的に接続しながら、相互作用研究の現在地と今後の展望を整理する場としたい。

公募予定の発表者の人数:0名


OS10

タイトル:LLMを超える物語生成の構造的・認知的制御 ―それぞれの頭の中の物語と物語論的法則性―

オーガナイザー:小野淳平(青森大学),福島宙輝(神戸大学),古屋有紀子(千葉大学),小方孝(大和大学)

概要:
 生成AI、特にLLMの普及により、物語生成は人間の創作行為と密接に結びつく新たな段階へと移行している。これは単なる技術革新ではなく、「何を語り、どのように意味を構築するのか」という人間固有の感性・内的特性を再考させる契機となっている。また、LLMの言語理解をめぐる議論は、人間の意味理解・解釈・物語生成プロセスそのものを問い直す重要な問題を提起している。
 本OSでは、人間の語りと解釈のメカニズムを、LLMとの比較・融合可能性を視野に入れつつ多角的に探究する。記憶・想像・自己理解・感情形成を支える物語構造を対象に、認知科学・感性研究・物語論・人工知能研究を横断し、多様な感性がどのように物語を生み、意味を形成するのかを検討する。

公募予定の発表者の人数:4名


OS11

タイトル:現場から立ち上がる協働的な芸術創造のダイナミクス

オーガナイザー:丸山慎(駒沢女子大学),眞崎光司(明治大学)

概要:
 本企画は、構想から創作、享受までの芸術創造の過程で生じる協働的な活動のダイナミクスとリアリティを、音楽を主な事例として検討していきます。クラシック音楽をはじめとした楽譜を用いた音楽が作曲され実演されるまでの過程においては、作曲家、指揮者、演奏家という異なる高度な専門性をもつ音楽家たちが協働することになります。本企画では音楽が生まれる演奏会や新曲の収録場面のフィールドデータを提示・分析するとともに、その分析結果を活動の渦中にいる音楽家たちとともに検討していきます。また同じく専門家同士の協働が重要となる建築分野の研究者との対話によって、協働的な芸術創造のダイナミクスについて議論を広げていきます。その上で映画、演劇、ダンスなど、多様な芸術における協働についてフロアと議論することを通して、芸術の認知科学における新たな論点を探究することを目指します。

公募予定の発表者の人数:0名


OS12

タイトル:内省の認知動力学:創造性/精神病理/プロジェクションの計算論的理解に向けて

オーガナイザー:福地庸介(東京都立大学),津村賢宏(東洋大学),前川知行(静岡大学),笠野純基(北陸先端科学技術大学院大学),西川純平(岡山県立大学)

概要:
 本OSは、内省を"自己の認知を変容させる内的行動"として捉え、内省によって生じる認知動力学を計算論的に再現することを目指した「リフレクション科学」の構築を検討する。
 リフレクション科学は、自由エネルギー原理を主要な理論基盤としつつ、主体と外界の物理的な相互作用だけでなく、理想と現実のギャップ(葛藤)によって不安定なエネルギー状態にある主体が、敢えて(一時的に)外界への介入を保留し、状況に対する自身の捉え方を解釈・再評価・リフレーミングすることでエネルギーの低減を図る動力学に焦点を当てる。そして、内省の動力学の帰結として、現状を打破する創造的な解を発見したり、逆に反芻的に内省を繰り返すことで非適応的な信念へ固着し精神疾患に陥ってしまう、といった一見対照的な結果を統一的に説明することを狙う。さらに、エネルギーを能動的に低減させる方策として、主体が世界の意味づけや語りを作り出し、生成モデルを更新することで、結果的に世界の側の属性として経験される高次のプロジェクションが生じるとして、プロジェクションの機構の理解に計算論的な示唆を与えることを目指す。

公募予定の発表者の人数:0名


OS13

タイトル:夜明け前の認知:違和感ともどかしさの探究 Part-2

オーガナイザー:藤井晴行(東京理科大学),諏訪正樹(慶應義塾大学)

概要:
 暗黙性の高い「気づき」を対象とし、特に、違和感、疑義、感触、さらに、「もどかしさ」を深堀する。本人でさえも気になってはいるが明確には語れない、いわば、気づいたり腑に落ちたりする現象の「夜明け前の認知」に眼差しを向ける認知科学の実践、方法論、関連する理論などについて議論する。
 いくつか例を下記に挙げよう。「」で表現された認知の裏には、これまでの認知科学・心理学が未探究の知性・知能の姿が潜んでいるに違いない。本OSではこの種の認知を取りあげたい。

・この場所はかつて来たことがあるように思うのだが、論理的に考えれば初めての場所であるというデジャブ体験はとても「もどかしい」。
・アスリートが、自身が大切にする幾つかのポイントをすべて満足するように身体各部位を動かしているはずなのに、今日はなんだか「しっくりこない」と体感する。
・初めてのカフェに入り陣取ってみると、これまでこんな感覚で建築空間のなかに佇んだことはないが居心地がよく、しかしその感覚を表現することばを持たないというような「身体的直観」がある。
・論理的、客観的に、あるいは、過去の経験を挙げて、説明するのは難しいのであるが、日常生活や科学的探究や制作活動において、これをやったらうまくいきそうという「信解的実感」がある。

公募予定の発表者の人数:0名


OS14

タイトル:研究をプレイする:新しい研究のかたちへ

オーガナイザー:城間祥子(沖縄県立芸術大学),青山征彦(成城大学)

概要:
 本OSは、教育環境のデザイン分科会(SIG DEE)による企画である。本OSは、従来の研究とは異なるアプローチを展開している方から話題提供をいただき、いかに研究をプレイ(遊ぶ・演じる)するかを考えることを通じて、新しい研究のかたちを参加者と集合的に創造する場としたい。
 現在の学会を中心とした研究では、研究者が研究の成果を論文という形にまとめ、論文が研究誌に掲載されるというかたちを採っているが、このようなあり方は、何が研究成果であり、研究者とは誰なのかを暗黙のうちに限定してしまっている。こうした研究のあり方に対して、オルタナティブなアプローチに、アートベースリサーチ(ABR)がある。論文という形にとらわれずに成果をアート作品として表現するABRの試みは、研究のあり方そのものを変化させるポテンシャルを持っていると言えるだろう。例えば、心理学における論争を演劇の形で示した発表や、ワークショップの参加者が生み出したものを作品とするなど、従来の研究の枠組みに当てはまらない研究のあり方が模索されてきている。
 また、研究は本来、誰にも開かれたものである。しかし、現在の研究の知見を流通させる仕組みは、研究成果を著者(個人やグループ)へと帰属させ、専門のトレーニングを受けた者でなければ参入することが難しいという状況をつくり出している。アクションリサーチのように、研究者だけでなく、研究に関わったすべての人々を含む集合的なプロセスとして研究成果を示す方法論も探究されてはいるが、例外的な位置にとどまっている。さらにいえば、研究は研究者を含めた集合的なプロセスによる成果だという前提を受け入れるならば、(プロの)研究者はそこでどのような役割を果たすべきなのかも検討されなければならないだろう。
 そこで、研究をプレイする(遊ぶ・演じる)ことを通して、従来の研究の枠組みに当てはまらない研究をいかに行うかを考えたい。OSにおいてこれらの問いを探究することも新しい知を生み出すプロセスに他ならない。そのため、本OSそのものも、協働的な探究のプロセスとして作品化することを試みる。

公募予定の発表者の人数:2名


OS15

タイトル:創造性あるいは創造的活動と脳のデフォルトモードネットワークについて考える

オーガナイザー:伊藤篤(中央大学),上田一貴(東京大学),原田康也(早稲田大学),平松裕子(中央大学)

概要:
 生成系AIが広く使われるようになってきており、人とAIの関わりについて、関心が高まっている。その中で、人がアイデアを出して、AIに実行させる、という役割分担の可能性がしばしば指摘されている。ここで、アイデアを出すというのは、どういうことだろうか?アイデアを出せと言われても、なかなかすぐには思いつかないのが現状である。
 近年、マインドワンダリングと脳のデフォルトモードネットワークと創造性の関係に関連する研究が進んでおり、興味を持つ人も増えているが、その実態は、あまり明らかではない。
 そこで、本OSでは、マインドワンダリングと脳のデフォルトモードネットワークについての理解を深めるため、関連する発表やワークショップを行う。

公募予定の発表者の人数:2名


OS16

タイトル:ローカルエコーチェンバーのステアリング:認知科学的介入の成果と展望

オーガナイザー:森田純哉(静岡大学),大本義正(静岡大学),竹内勇剛(静岡大学),遠山紗矢香(静岡大学),市川淳(静岡大学),高口鉄平(静岡大学),遊橋裕泰(静岡大学)

概要:
 インターネット環境の高度化に伴い、情報空間における信頼の揺らぎや社会的分断の問題が顕在化している。本オーガナイズドセッションでは、RISTEX「デジタルソーシャルトラスト」領域における研究成果を背景に、ローカルな情報環境におけるエコーチェンバー現象と信頼形成を認知科学の観点から検討する。
 本プロジェクトは三年間にわたり、(1)陰謀論検出や情報制御の工学的アプローチ、(2)神経法学に基づく制度的・倫理的検討、(3)地域SNSおよびマイクロワールド実験による信頼形成メカニズムの分析、など段階的に議論を展開してきた。最終年度にあたる本セッションでは、これらの成果を総括するとともに、地域社会への実装可能性を中心に議論する。
 具体的には、地域におけるトラストの現状把握、ソーシャルメディア上の情報流通を模倣する実験研究、地域SNSを対象としたフィールド研究、ならびにリテラシー教育への展開について報告する。
 招待講演として、小樽商科大学 社会情報学科 木村泰知氏をお迎えする。木村氏は、自治体広報誌・議会議事録・住民向け情報サービス等の大規模テキストデータ分析を通じて、自治体と住民のコミュニケーション設計や信頼形成の実践的研究を進めている。本講演では、信頼を制度設計や情報環境のデザインとして扱う立場から、地域社会におけるトラスト形成の現状と課題を提示いただく。
 本セッションは、エコーチェンバーや信頼形成を「個人の認知メカニズム」と「地域社会における制度・実践」の往還として捉え直す試みである。認知科学の知見をいかに社会実装へ接続できるのか、その理論的射程と限界を議論したい。

公募予定の発表者の人数:0名


OS17

タイトル:A Gateway to Global Cognitive Science: International Organized Session at JCSS 2026 (世界につながる認知科学への入口:JCSS英語オープンセッション)

オーガナイザー:森田純哉(静岡大学),Joseph Austerweil(千葉工業大学)

概要:
 本オーガナイズドセッションは、2025年に開催された CogSci Asia-Pacific Meetup Kickoff の流れを、日本認知科学会第43回大会(JCSS 2026)へと接続する取り組みである。その目的は、日本国内と国際的な認知科学研究コミュニティを継続的に結びつける場を学会内に設けることである。
 本セッションは英語によるオープンセッションとして開催し、日本および海外の研究者が研究成果を共有し、議論し、共同研究を構築する「ゲートウェイ」となることを目指す。主な対象は、日本在住の国際研究者および留学生(特に大学院生)であり、英語で研究発表・議論を行う実践的な機会を提供する。また、日本人研究者・学生にとっても英語発表の実践の場となる。
 発表は公募制を基本とし、応募状況に応じてポスター発表およびネットワーキングの時間を設ける。なお本OSは認知科学会国際交流室による運営・企画として提案するものである。

 This Organized Session connects the outcomes of the CogSci Asia-Pacific Meetup Kickoff (2025) to the 43rd Annual Meeting of the Japanese Cognitive Science Society (JCSS 2026). Its aim is to establish an ongoing interface between domestic and international cognitive science research within JCSS.
 The session will be conducted as an open English program serving as a "gateway" where Japanese and international researchers can share findings, exchange ideas, and build collaborations. It primarily targets international researchers and graduate students residing in Japan, offering a venue to present and discuss research in English within the domestic academic community. The session is also open to Japanese researchers and students seeking opportunities to present in English.
 The program will mainly consist of call-based presentations, with flexible allocation for poster presentations and networking if needed. This Organized Session is proposed and coordinated by the International Exchange Office of the Japanese Cognitive Science Society.

 情報公開サイト/Information Website:https://sites.google.com/view/jcss-international-2026/home

公募予定の発表者の人数:口頭発表4〜6名程度,ポスター発表0〜10名程度


OS18

タイトル:モデルの違いを乗り越える:立場の異なる人と協働するために

オーガナイザー:青山征彦(成城大学),小橋康章(無所属の非職業的研究者)

概要:
 専門家同士、素人と専門家のコミュニケーションがうまくいかない場面に注目して、どのようにモデルの違いを乗り越えられるかを議論したい。(自称を含め)素人/非専門家の参加を歓迎する。また専門家性の欠陥を乗り越えたい(自称を含め)専門家も歓迎である。
 認知科学のコミュニティにおいては「人間の知能」と「人工の知能」が互いにモデルとなり相互作用を繰り返してきた歴史がある。例えば人間の認知過程を考えるときに、ある合理的な行動や判断のモデル(例 パーセプトロン、状況モデル)を想定して、そのモデルが実際の認知過程をどれくらい反映しているかを検討するという手法も広く用いられてきた。また、研究を進める上で、人間のありかたに関する一種の仮定(例 経済的人間)をおいたり、何らかの枠組み(例 情報処理アプローチ、社会文化的アプローチ)を前提としたりすることはさまざまなアプローチで見られる。これもまた、人間の在り方に関するモデルと言えるだろう。本OSでは、認知科学の研究にそうしたモデルが果たす機能や意味について議論するとともに、近年の生成AIの急速な発展や、SNSのようなインターネット上のつながりを前提に、各種のモデルが専門間の、また市民や一般社会との橋渡しや協働を実現していく具体的な方法を考えたい。

公募予定の発表者の人数:2名