セッション詳細

現場から立ち上がる協働的な芸術創造のダイナミクス

2026年8月31日(月) 14:30 〜 16:30
1階 OS会場3(BNC106)
オーガナイザー: 丸山 慎(駒沢女子大学)、眞崎 光司(明治大学)
OS企画概要
本企画は、構想から創作、享受までの芸術創造の過程で生じる協働的な活動のダイナミクスとリアリティを、音楽を主な事例として検討していきます。クラシック音楽をはじめとした楽譜を用いた音楽が作曲され実演されるまでの過程においては、作曲家、指揮者、演奏家という異なる高度な専門性をもつ音楽家たちが協働することになります。本企画では音楽が生まれる演奏会や新曲の収録場面のフィールドデータを提示・分析するとともに、その分析結果を活動の渦中にいる音楽家たちとともに検討していきます。また同じく専門家同士の協働が重要となる建築分野の研究者との対話によって、協働的な芸術創造のダイナミクスについて議論を広げていきます。その上で映画、演劇、ダンスなど、多様な芸術における協働についてフロアと議論することを通して、芸術の認知科学における新たな論点を探究することを目指します。

OS1-3-1【話題提供】
タイトル:「音楽家同士の協働における構想の役割」
眞崎 光司(明治大学) 
概要:熟達した芸術家同士は、互いに譲れぬものを抱えながらいかにして協働を実現するのか。本発表では、新曲を収録するためのリハーサル場面を事例とし、作品の方向性をめぐって作曲家と演奏家の間に生じた緊張を伴う会話に焦点を当てる。作曲家が当初抱いていた構想は固定的な設計図ではなく、演奏される音を介して演奏家の視点と交錯し、更新されていく。こうした過程から、音楽を創造する現場における構想の動的な役割を検討する。

OS1-3-2【話題提供】
タイトル:「音楽表現の探求における身体性と協働性~指揮者とオーケストラの演奏場面を事例として~」
丸山 慎(駒沢女子大学)
概要:芸術表現の協同的な創造という点からみて、指揮者とオーケストラによる演奏はその1つの極ともいえるものである。本話題提供では、招待講演をお引き受けいただいた井上道義氏が指揮するオーケストラ演奏の実践場面のデータをもとに、指揮者の身体技法や言語的指示の特徴及びオーケストラとの相互作用、さらにはダンスとの繋がりといった点に関心を向ける。そして、音楽的創造の現場における身体(間)協調という観点から芸術創造のダイナミクスにアプローチすることの可能性を議論する。

OS1-3-3【招待講演】
タイトル:「デザインと外部」
関 博紀(東京都市大学)
概要:ある漫画家は筆が乗る深夜になると敢えて図鑑に目を向けながら描くのだそうだ。理由は「自分が入るのを防ぐため」。この話を聞いた時,漫画制作における外部とはこんなところにあるのかと興味を持った。外部があるとは,それと折り合いをつけながら物事を進めること,すなわち恊働が芽生えるということだろう。建築も外部との付き合い方が大切だ。というより,建築設計は恊働,つまり外部との付き合いが大前提だ。自邸をセルフビルドしたって敷地や素材は圧倒的な外部である。到底コントロールできない。ところが,こうした制約が設計を面白くしているとも思う。音楽の場合はどうなのだろう?外部はどんな時にどのように現れているのだろうか?

OS1-3-4【招待講演】
タイトル:「作曲家は何をしているのか?」
山本 和智(作曲家)
概要:作曲家は、楽譜を書くときは部屋に篭ってひとり紙に鉛筆を走らせる。また楽譜が完成した後は演奏家や指揮者、制作担当、ホールスタッフ、録音エンジニアなど多くの人と協力して音楽を作り上げる。音楽を生み出す過程で、作曲家は何を考え、何をしているのか。

OS1-3-5【招待講演】
タイトル:「現場から立ち上がる協働的な芸術創造をめぐって 」
井上 道義(指揮者)
概要:指揮者の井上道義氏は、2024年12月末に指揮活動を引退するまで50余年にわたって、まさに芸術の最前線で活動を行ってきた。今回の招待講演では、井上氏の実践を記録したいくつかの動画データを参照しながら、指揮者による音楽創造とは何か、オーケストラとの協働的な創造プロセスにおいて求められるスキルとその熟達とはどのようなものか、といった点について語っていただく予定である。