セッション詳細
内省の認知動力学:創造性/精神病理/プロジェクションの計算論的理解に向けて
2026年9月1日(火) 9:30 〜 11:30
2階 OS会場6(BNC211)
オーガナイザー:福地 庸介(東京都立大学)、津村 賢宏(東洋大学)、前川 知行(静岡大学)、笠野 純基(北陸先端科学技術大学院大学)、西川 純平(岡山県立大学)
OS2-6-1
福地 庸介(東京都立大学)
タイトル:
リフレクション・サイエンスの展望
概要:
本講演は、内省を"自己の認知を変容させる内的行動"として捉え、内省によって生じる認知動力学を計算論的に再現することを目指した「リフレクション科学」の構築を検討する。リフレクション科学は、自由エネルギー原理を参照しつつも、主体と外界の物理的な相互作用だけでなく、閉塞状態の主体が敢えて外界への介入を保留し、状況に対する自身の捉え方を解釈・再評価・リフレーミングすることで閉塞の打開を図る動力学に焦点を当てる。そして、内省の動力学の帰結として、現状を打破する創造的な解を発見したり、逆に反芻的に内省を繰り返すことで非適応的な信念へ固着し精神疾患に陥ってしまう、といった一見対照的な結果を統一的に説明することを狙う。本講演は特に、注意・信念・価値基準などが連動することで内省を方向づける「認知的文脈」とプロジェクション科学における「フィルタ」の等価性について議論し、プロジェクションを成立させている高次認知の機序に関して、計算論的な説明を与える可能性について考える。
OS2-6-2 [招待講演]
出井 勇人(国立精神・神経医療研究センター)
タイトル:
自由エネルギー原理における認知モードの創発 ―知覚・意図・マインドフルネスの構成論的理解―
概要:
脳の自由エネルギー原理(FEP)は、システムのマクロな状態である変分自由エネルギーと、ミクロな神経ダイナミクスとの相互作用を、変分自由エネルギー最小化として記述する計算理論である。本発表では、FEPに基づく自律的生命維持過程(アロスタシス)のモデルを提案し、生命維持の過程において、マクロ状態とミクロダイナミクスの相互作用様式、および最小化される内部損失関数が動的に変化することで、周囲の知覚に集中するモードと目標指向的に行動するモードの切り替えが創発することを示す。さらに、自らの認知モードをメタレベルで認知する階層を導入することで、「いまここ」の知覚に注意を維持するマインドフルネスの計算論的説明を試みる。
OS2-6-3 [招待講演]
二宮 由樹(南山大学)
タイトル:
価値を創造する内的行為としての表象の再構築
概要:
創造的問題解決、とりわけ洞察問題解決では、問題に対する見方、すなわち問題表象の再構築によって解決策が見いだされると考えられてきた。表象の再構築による問題解決は、外的な問題状況そのものを変化させるのではなく、問題を捉える認知的文脈を変化させるという点で、内省的な問題解決として捉えることができる。このような表象の再構築は、生成物の価値を判断する創造性評価においても、新たな評価観点から、それまで見過ごされていた価値を発見することにつながる。本発表では、創造的問題解決における問題表象の再構築と内省との関係を整理したうえで、創造性評価における観点の変化を扱った実験を紹介し、内省が創造的な価値の発見に果たす役割について議論する。
OS2-6-4
笠野 純基 (北陸先端科学技術大学院大学)
タイトル:
「味わう」ことから考える意味のオープンエンドネス —— 内的行為がもたらす意味生成の計算論に向けて
概要:
意味はなぜ、尽きることなく生まれ続けるのか。本発表では、リフレクション科学構想の起点ともなった私自身の偏った食事体験を手がかりに、この問いを本OSの構想に照らして考えたい。調味料で強く覆うほど対象は一様な味へ収束するが、それをあえて使わずにおくと、素材ごとの微細な差異が次々と立ち上がってくる。それらを味わうなかで、意味は尽きることなく生まれ続ける——私はこの体験に、意味のオープンエンドネスの片鱗を見ている。本OSは、外界だけでなく内的行為によっても自由エネルギーを低減しうるのではないか、という問いから出発している。この構想に照らしたとき、意味がむしろ豊かに生み出されていく私の体験を、サプライズの最小化としてどこまで説明できるのか。その射程を本セッションで議論したい。
OS2-6-5 [招待講演]
塚村 祐希(東京大学)
タイトル:
概要:
OS2-6-6
西川 純平(岡山県立大学)
タイトル:
反芻と認知的文脈の時間発展を扱うACT-Rシミュレーション
概要:
リフレクション科学が扱う認知的文脈の時間発展のうち、反芻に伴って記憶検索の内容や取りうる行動の幅が狭まっていく過程に注目する。抑うつ的記憶構造を所与とする既存ACT-Rモデルを参考に、その構造が形成・維持される過程をモデル化する。短期の思考系列と長期の推移をACT-R上で接続し、全条件に共通の認知・行動サイクルと小さな初期差から、狭窄的な認知的文脈が生まれるかを検証する。同じ機構が初期条件によっては狭窄以外の開かれた方向へも向かいうることを最小の形で示し、将来的には狭窄と他の時間発展を分ける境界条件の解明につなげたい。発表では設計方針と、1年分をシミュレートした推移を初期結果として報告する。
福地 庸介(東京都立大学)
タイトル:
リフレクション・サイエンスの展望
概要:
本講演は、内省を"自己の認知を変容させる内的行動"として捉え、内省によって生じる認知動力学を計算論的に再現することを目指した「リフレクション科学」の構築を検討する。リフレクション科学は、自由エネルギー原理を参照しつつも、主体と外界の物理的な相互作用だけでなく、閉塞状態の主体が敢えて外界への介入を保留し、状況に対する自身の捉え方を解釈・再評価・リフレーミングすることで閉塞の打開を図る動力学に焦点を当てる。そして、内省の動力学の帰結として、現状を打破する創造的な解を発見したり、逆に反芻的に内省を繰り返すことで非適応的な信念へ固着し精神疾患に陥ってしまう、といった一見対照的な結果を統一的に説明することを狙う。本講演は特に、注意・信念・価値基準などが連動することで内省を方向づける「認知的文脈」とプロジェクション科学における「フィルタ」の等価性について議論し、プロジェクションを成立させている高次認知の機序に関して、計算論的な説明を与える可能性について考える。
OS2-6-2 [招待講演]
出井 勇人(国立精神・神経医療研究センター)
タイトル:
自由エネルギー原理における認知モードの創発 ―知覚・意図・マインドフルネスの構成論的理解―
概要:
脳の自由エネルギー原理(FEP)は、システムのマクロな状態である変分自由エネルギーと、ミクロな神経ダイナミクスとの相互作用を、変分自由エネルギー最小化として記述する計算理論である。本発表では、FEPに基づく自律的生命維持過程(アロスタシス)のモデルを提案し、生命維持の過程において、マクロ状態とミクロダイナミクスの相互作用様式、および最小化される内部損失関数が動的に変化することで、周囲の知覚に集中するモードと目標指向的に行動するモードの切り替えが創発することを示す。さらに、自らの認知モードをメタレベルで認知する階層を導入することで、「いまここ」の知覚に注意を維持するマインドフルネスの計算論的説明を試みる。
OS2-6-3 [招待講演]
二宮 由樹(南山大学)
タイトル:
価値を創造する内的行為としての表象の再構築
概要:
創造的問題解決、とりわけ洞察問題解決では、問題に対する見方、すなわち問題表象の再構築によって解決策が見いだされると考えられてきた。表象の再構築による問題解決は、外的な問題状況そのものを変化させるのではなく、問題を捉える認知的文脈を変化させるという点で、内省的な問題解決として捉えることができる。このような表象の再構築は、生成物の価値を判断する創造性評価においても、新たな評価観点から、それまで見過ごされていた価値を発見することにつながる。本発表では、創造的問題解決における問題表象の再構築と内省との関係を整理したうえで、創造性評価における観点の変化を扱った実験を紹介し、内省が創造的な価値の発見に果たす役割について議論する。
OS2-6-4
笠野 純基 (北陸先端科学技術大学院大学)
タイトル:
「味わう」ことから考える意味のオープンエンドネス —— 内的行為がもたらす意味生成の計算論に向けて
概要:
意味はなぜ、尽きることなく生まれ続けるのか。本発表では、リフレクション科学構想の起点ともなった私自身の偏った食事体験を手がかりに、この問いを本OSの構想に照らして考えたい。調味料で強く覆うほど対象は一様な味へ収束するが、それをあえて使わずにおくと、素材ごとの微細な差異が次々と立ち上がってくる。それらを味わうなかで、意味は尽きることなく生まれ続ける——私はこの体験に、意味のオープンエンドネスの片鱗を見ている。本OSは、外界だけでなく内的行為によっても自由エネルギーを低減しうるのではないか、という問いから出発している。この構想に照らしたとき、意味がむしろ豊かに生み出されていく私の体験を、サプライズの最小化としてどこまで説明できるのか。その射程を本セッションで議論したい。
OS2-6-5 [招待講演]
塚村 祐希(東京大学)
タイトル:
概要:
OS2-6-6
西川 純平(岡山県立大学)
タイトル:
反芻と認知的文脈の時間発展を扱うACT-Rシミュレーション
概要:
リフレクション科学が扱う認知的文脈の時間発展のうち、反芻に伴って記憶検索の内容や取りうる行動の幅が狭まっていく過程に注目する。抑うつ的記憶構造を所与とする既存ACT-Rモデルを参考に、その構造が形成・維持される過程をモデル化する。短期の思考系列と長期の推移をACT-R上で接続し、全条件に共通の認知・行動サイクルと小さな初期差から、狭窄的な認知的文脈が生まれるかを検証する。同じ機構が初期条件によっては狭窄以外の開かれた方向へも向かいうることを最小の形で示し、将来的には狭窄と他の時間発展を分ける境界条件の解明につなげたい。発表では設計方針と、1年分をシミュレートした推移を初期結果として報告する。
