講演情報
[12001-08-03]薬疹疑いで来院したが、皮疹の特徴からデング熱の診断に至った1例
*領家 美緒1、福地 貴彦2、松本 福子2、吉原 花子2、吉田 克之2、山下 武志2 (1. さいたま市民医療センター、2. 自治医科大学附属さいたま医療センター)
キーワード:
デング熱、white islands in a sea of red
【症例】24歳男性 既往に双極性障害があり、バルプロ酸、スピリドを内服中【現病歴】来院21日前からインドのファリーダーバードに4日間滞在した。18日前に現地で蚊に刺され、同日に帰国した。帰国翌日に発熱し、2日間で解熱した。10日前に同居の父がインフルエンザに罹患した。8日前に再度発熱があり、4日前に近医で、インフルエンザ陽性と診断され、オセルタミビルを処方された。2日前に発疹が出現し薬疹を疑いオセルタミビルを中止した。その後解熱は得られたが、発疹増悪、結膜充血もあり、近医皮膚科を受診し、当院受診を勧められ来院した。来院時、両側眼球結膜に充血あり、四肢、体幹、背部に紅斑(一部紫斑)あり、血液検査では、血小板数低下と肝酵素上昇があり、薬疹疑いで入院となった。【臨床経過】入院後は、自然経過で血小板、肝酵素はいずれも改善傾向を示した。発疹はwhite islands in a sea of red様所見を呈し、この皮疹所見と渡航歴・蚊刺歴から、薬疹よりデング熱を疑って NS1 抗原検査を施行した。入院5日目に陽性が判明し、デング熱と確定診断した。同日、血小板は正常範囲となり、臨床症状も安定していたため退院とした。【考察】デング熱では解熱時に発疹が出現することがあり、一部が白く抜ける紅斑(white islands in a sea of red)が特徴的であり、本例でも重要な診断手がかりとなった。インフルエンザ重複診断やオセルタミビル使用歴が診断を複雑化させたものの、皮疹所見と検査所見、渡航歴を組み合わせて判断を進めることで正しい診断に至った。日本国内でも輸入デング熱例が増加していることから、プライマリケア医も発疹を伴う発熱例では蚊媒介ウイルス感染症も鑑別として考えるべきである。【結語】インフルエンザと重複感染があり、薬疹が疑われたが、皮疹の特徴からデング熱の診断に至った症例を経験した。
