講演情報

[12001-08-04]発熱、腹痛を主訴に受診したHIV感染症患者の結核性リンパ節炎の一例

*小林 健也1、立石 哲則1、木庭 太郎1、織田 錬太郎1、保浦 修裕1 (1. 多摩総合医療センター)

キーワード:

結核、HIV、難民

【症例】31歳 男性【現病歴】来院7か月前にコンゴから来日.週に数日発熱があり来院2か月前から右季肋部痛、近医でレボフロキサシンが処方され、一時解熱・腹痛も軽快した。しかし症状が再燃、体重減少を伴い再診、血液検査でHIV抗原抗体検査陽性で当科紹介となった。HIV確認検査も陽性となりHIV感染症(CD4数27/μL、HIV RNA量 11万copy)として精査目的に入院した。【入院後経過】造影CTで肝門部・大動脈周囲のリンパ節腫脹を認め第7病日に腹腔内リンパ節に対して生検を実施。生検検体の抗酸菌染色、結核菌PCRが陽性。結核性リンパ節炎と診断した。第9病日に抗結核薬4剤で治療を開始したところ症状が軽快、第26病日にARTを開始し、第28病日に自宅退院となった。しかし第31病日から発熱・腹痛の再燃。第39病日に再入院した。CTでリンパ節腫脹の増大を認め、ART開始に伴う免疫再構築症候群と考えステロイドを開始したところ症状は軽快した。外来で治療を継続している。【考察】HIV感染症患者におけるリンパ節腫脹の鑑別は多岐に渡り、積極的なリンパ節生検が重要である。HIV感染症患者の結核感染症ではART開始後に免疫再構築症候群により症状が悪化することがあり、治療開始後も慎重なフォローが必要である。