講演情報

[12009-15-02]血清アミラーゼ高値で急性膵炎が疑われたが腐食性食道炎および十二指腸潰瘍であった一例

*遠藤 瑠星1、吉田 絵理子1、野本 朋宏1、宮本 好美1、和田 浄史1 (1. 川崎医療生活協同組合 川崎協同病院)

キーワード:

血清アミラーゼ、腐食性食道炎、十二指腸潰瘍

【背景】血清アミラーゼ高値は急性膵炎をはじめとする膵疾患や唾液腺に関わる疾患で上昇することがよく知られている。今回、若年男性が多量の飲酒後の心窩部痛を主訴に来院され、血清アミラーゼ高値であったことから膵炎が疑われたが、異なる疾患であった症例を経験したので報告する。
【症例】36歳,男性。来院前日の夜間に焼酎の原液を10杯、テキーラを3杯ほど飲酒した。その後心窩部痛が持続し近医救急外来に受診された。その際に血清アミラーゼ値1643 U/Lと上昇していたため急性膵炎が疑われ当院に転院搬送された。診察にて心窩部に限局した圧痛を認めた。造影CTにて膵臓の形態は保たれており、食道壁の浮腫性変化を認め、近位空腸中心にKerckringひだが目立ち液体貯留を伴っている所見を認めた。CT Grade 1,予後因子は0点であった。乳酸リンゲル液2500ml/24時間とオメプラゾール40mg/日投与をし、絶食にて経過を見た。第2病日で血清アミラーゼ値 113 U/Lと著明に改善した。第3病日の上部消化管内視鏡検査にて頚部食道から胃接合部まで全周性にびらんが目立っており腐食性食道炎を疑う所見を認めた。また十二指腸球部〜下降脚にかけてA1 Stageの潰瘍が散在していた。ボノプラザン20mg内服を行いながら常食まで摂取可能になり、第7病日に退院とした。退院後フォロー目的で実施した上部消化管内視鏡検査では食道炎や十二指腸潰瘍の改善を確認した。
【考察】血清アミラーゼ高値を示した十二指腸潰瘍の症例を経験した。血清アミラーゼは膵炎以外にも胃十二指腸潰瘍及びその穿孔、腸閉塞、胆道疾患、大腸炎、腎不全などでも上昇することに留意が必要である。