講演情報

[CRS-1]咀嚼機能評価法と健康関連パラメータの関連性

*安部 友佳1 (1. 昭和医科大学大学院歯学研究科歯科補綴学分野)
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キーワード:

咀嚼能力、健康関連パラメータ、スコーピングレビュー

補綴歯科治療の目的は「食べる」という根源的な機能の回復を通じて,人々の健康増進と生活の質(QOL)の向上を図ることである.近年,この機能回復がフレイルや認知症など全身状態に与える波及効果が注目されている.一方で,本邦で臨床的に用いられている客観的咀嚼機能評価において,診断閾値に関する統一的なコンセンサスは未だ得られていない.研究企画推進委員会では,咀嚼機能評価の結果が他職種の医療従事者にも理解され,共有可能な診療情報として利用できるようにすることを目指し,咀嚼機能評価の意義を明らかにすることを目的として,咀嚼機能評価法と健康関連パラメータとの関連についてスコーピングレビューを実施した.
 対象とした咀嚼機能検査法は,本邦の日常臨床で実施可能かつ一定のコンセンサスが得られており,信頼性と妥当性が検証済みである客観的検査法であるグミゼリー法,ガム法,咬合力の3つとした.健康関連パラメータは,フレイル,サルコペニア,認知症・認知機能,栄養・食習慣,ADL,運動機能,全身疾患・血液学的因子,社会的因子,身体的因子,QOL,うつ,死亡を設定した.対象とする文献は2000年以降の英文原著論文とし,対象者の年齢,歯列,疾患などの属性は問わず検索を行った.
 本シンポジウムでは,文献検索の結果を報告するとともに,得られた知見をもとに今後必要なエビデンスの蓄積と,それを支える基盤整備について考察する.