講演情報
[ES2-2]口腔機能と全身に関する臨床研究の課題とその解決法~因果の証明に近づくための創意工夫~
*黒﨑 陽子1 (1. 大阪歯科大学歯学部欠損歯列補綴咬合学講座)
世界的に高齢化が加速する中で,健康寿命の延伸は国際的に喫緊の課題となっている.そのようななか,近年では口腔の健康と全身の健康との関連が注目され,その研究成果の多くが,世界一の高齢者大国である日本から発信されていることからも,日本が本研究分野を最先端で牽引してきたと言っても過言ではない.発表者はこれまで,高齢者の生命予後,認知機能,栄養状態などを主要なアウトカムとし,口腔機能が全身健康にどのように寄与するかを明らかにすべく,多くの臨床疫学研究に取り組んできた.一方で,発表者の研究を含め,これまでの研究の多くは観察研究(特にコホート研究)であるがゆえ,交絡因子の影響を完全に排除することは難しく,因果関係の証明には限界があり,口腔機能と全身健康の関連性を示すにとどまる場合も多い.真に口腔機能が全身健康に寄与するかを明らかにするためには,従来の臨床疫学研究の手法のみでは不十分と痛感せざるをえないのが実情である.
本講演では,“口腔機能から全身へ:コホート研究の課題を経験から考察する”と題して,発表者がこれまで取り組んできた臨床疫学研究の実践的な経験を参加者の皆様に共有させていただくとともに,経験から導き出されるコホート研究の限界や課題について考察し,今後の研究の方向性や方法論の改善について議論を深めていきたい.
本講演では,“口腔機能から全身へ:コホート研究の課題を経験から考察する”と題して,発表者がこれまで取り組んできた臨床疫学研究の実践的な経験を参加者の皆様に共有させていただくとともに,経験から導き出されるコホート研究の限界や課題について考察し,今後の研究の方向性や方法論の改善について議論を深めていきたい.